北朝鮮有事がうまく回避されるのならば、日経平均は年末までに2万5,000円を上回ることでしょう。ここにきて「北朝鮮有事の回避」の可能性は高まっています。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)
※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2018年3月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
中間選挙を控えたトランプは勧善懲悪のわかりやすい展開を狙う?
4月から日本経済は明るい
結論から先に申し上げます。今年「北朝鮮有事」がうまく回避されるのならば、日経平均は年末までに2万5,000円を上回ることでしょう。そして、ここにきて朝鮮半島は「雪解け」モード。「北朝鮮有事の回避」の可能性は高まっています。
懸念される「米中貿易戦争」ですが、アメリカのマクロ経済への影響は軽微に終わると見ています。万が一「米中貿易戦争」が激化したら、中国経済への悪影響のほうが大きいでしょう。
そして意外や意外、米中貿易戦争では、日本経済は「漁夫の利」を得るかもしれません。日本株式市場では、この4月からムードが一変する可能性があります。
さらに、金正恩北朝鮮委員長は、中国にも韓国にも裏切られて、米朝首脳会談中に斬首されるかもしれません。トランプならば、それくらいのシナリオは考えているはず。なにはともあれ、米中韓が目指している「北朝鮮の非核化」(北朝鮮の核の核シェアリング)は今年中に実現するでしょう。
今は、米中貿易摩擦への「懸念」が、朝鮮半島の雪解けへの「期待」を上回っている状況。冬の夜明け前が一番暗くて寒いものですが、ここは踏ん張りどころです。
ひとつひとつ、解説していきましょう。
米中貿易戦争で、日本は「漁夫の利」を得る
先々週から海外投資家による日本株売りが継続しています。
しかしながら、もし米中の貿易戦争が激化したら、漁夫の利を得るのは日本経済ということが、だんだん明らかになってきています。
アメリカでは、中国からの輸入品は、中国以外の国からの輸入品で代替可能なものが多いのです。アメリカ国内で特定の中国製品に25%もの高い関税がかけられるようになったならば、その輸入製品は、日本からの輸入製品の増加で代替可能なのです。
その反対に、中国のアメリカからの輸入品は、代替可能のものが少ない。中国政府が対抗措置として高い関税をかけても、アメリカ以外の国から輸入品では代替できない物が多いのです。
大きな被害を受けるのは「中国」
こういった状況ですから、今回の米中貿易戦争は、万が一本格化しても、圧倒的に「中国経済のほうが分が悪い」のです。
しかも、今の中国経済は、膨大な不良債権を抱えながらも、なんとか高成長を維持することで、経済をソフトランディングさせようと四苦八苦しているところです。
(裏を返すと、今の中国政府は、経済の高成長を維持することで、なんとか不良債権の膨張を食い止めて、中国経済のクラッシュをぎりぎりで回避しているわけです。今の中国北京政府は、中国経済をソフトランディングさせることでいっぱいいっぱいで、余裕がないのです。)
そんな中で、アメリカへの輸出品に高関税を課せられたならば、今の中国は「元を切り下げて」でも、輸出を維持しなければならなくなります。「元の切り下げ」は、中国国内の物価を押し上げて、中国国内の政治を不安定にします。
「米中貿易戦争」は、アメリカのマクロ経済にも国内政治にもほとんど悪い影響を与えません。ところが、ソフトランディングを模索して四苦八苦中の中国には、マクロ経済面でも国内政治面でもかなり大きな悪影響を与えるのです。
そういった中で、トランプ大統領は、今回の「貿易戦争を始めてもよいんだぞ!」という「通商カード」が、対中国や対韓国では「強力な外交カード」として使えるということを、公言してはばからないようになりました。
トランプ大統領は、北朝鮮問題で、韓国や中国から「譲歩」を勝ち取ってアメリカ有利に事を運ぶために、こういった「通商カード」で韓国や中国を脅しているのです。
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