8月24日にパウエルFRB議長がジャクソンホールで開かれる経済シンポジウムで講演するが、市場の関心は薄い。金融政策への注目度が低下してしまったのだろうか。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)
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重要なニュースを見極められるか。投資家の生死はそこで分かれる
金融政策への関心が薄れてきた…
FRBは16日、パウエル議長が8月24日にワイオミング州ジャクソンホールで開かれる経済シンポジウムで講演すると発表した。変化する経済情勢における金融政策について講演するそうである(ロイター)。
これを見て、そういえばジャクソンホールの季節なのかと思い出した。というよりも、ジャクソンホールのことをすっかり忘れていた自分に驚いた。
市場でもほとんど話題にもならなかったこともあるが、市場における金融政策への関心度が、ここにきてかなり低下してしまったのであろうか。
本来は大注目のイベント
米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムは、本来であれば市場参加者にとって大きな注目材料となる。
ジャクソンホール(Jackson Hole)とはワイオミング州北西部に位置する谷のことを意味する。これには著名学者などとともに、日銀の黒田総裁など各国の中央銀行首脳が多数出席することで、金融関係者によるダボス会議のようなものとなっている。
ロシア危機とヘッジファンド危機に見舞われた1998年に、当時のグリーンスパンFRB議長は、このカンザスシティ連銀主催のシンポジウムの合間にFRB理事や地区連銀総裁とひそかに接触し、その後の利下げの流れをつくったとされている。
2010年8月27日には、バーナンキ議長(当時)がQE2を示唆する講演をジャクソンホールで行った。
2014年8月22日のジャクソンホール会議では、ECBのドラギ総裁が資産購入プログラムの導入を示唆したとされた。
投資家が注目すべき事柄は他にある
今年のカンザスシティ連銀主催のシンポジウムは、8月23日から25日にかけて開催される。
FRBについては、今年は年4回程度の利上げが予定されているが、その後の利上げについては限界があるとの見方も出ている。
ECBも年内に資産買入は停止し、ある程度の期間を置いてから利上げを模索する。
イングランド銀行も出口戦略をとしつつあるが、慎重である。
日銀は政策の柔軟化を決定した。
むろん、市場もこれらの中央銀行の動向を無視しているわけではない。
しかし、それ以上に米国と中国との貿易摩擦やトルコ状勢、英国のEU離脱、イタリアの政局などの動向の方が気掛かりとなり、リスクオフとリスクオンの相場が交互にやってくるような状況になっている。
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