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なぜバフェットもハーバード大も、毛嫌いしていたハイテク株に集中投資するのか?=東条雅彦

運用上手で知られるハーバード大学の基金を預かる運用会社が、アップル・マイクロソフト・アルファベットに集中投資しています。一体、ハイテク3銘柄に集中投資した狙いはどこにあるのでしょうか?(『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』東条雅彦)

運用上手で知られるハーバード大学が全力集中! なぜ今なのか?

ハイテク3銘柄に超・集中投資

2018年5月14日、ハーバード大学の基金を運用するハーバード・マネジメントがアップル、マイクロソフト、アルファベットの3銘柄に集中投資していることが判明しました。

以下、Bloombergの記事を引用します。

◎1-3月にアップル、マイクロソフト、アルファベット株購入-13F
◎3銘柄合計で同基金が保有する上場米国株の約72%を占める

ハーバード大学が大型テクノロジー株の上昇に大きく賭けている

12日終了週に米証券取引委員会(SEC)に提出された報告書「フォーム13F」によると、同大学の寄付基金は1-3月(第1四半期)にアップルとマイクロソフト、グーグルの親会社アルファベットの株式を新たに取得した。これらの3銘柄を合計すると、同基金が保有する8億1680万ドル(約890億円)相当の上場米国株のうち約72%を占める。同基金の規模は総額371億ドル。

同報告書によれば、ハーバード・マネジメントはアップル株を169万株、マイクロソフト株を185万株、アルファベット株を12万9000株購入した。従来はこの3銘柄を保有していなかった

出典:ハーバード大、大型テクノロジー株に賭ける-アップルなど3銘柄取得 – Bloomberg(2018年5月14日配信)

この記事には円グラフも掲載されています。こちらを見れば一目瞭然で、超・集中投資をしていることが伺えます。

<ハーバード大学、米国株のポートフォリオ(2018年3月末時点)>

出典:Bloomberg

出典:Bloomberg

アップル(34.8%)、マイクロソフト(20.6%)、アルファベット(16.4%)の3銘柄の保有比率を合計すると、約72%に到達します。

一見、保守的に思える大学系の機関投資家がここまで思い切った集中投資を行ったことに私はとても驚きました。

ハーバード大学は過去20年にわたり、毎年10%以上の運用益をコンスタントに出しており、資産運用がとても上手いことで知られています。

一体、ハイテク3銘柄に集中投資した狙いはどこにあるのか?

これを探っていきたいと思います。一度にすべてを語るのは紙面の関係で難しいので、本稿では最も投資比率がの高いアップルに焦点を当てることにします。

バフェットも「アップル」に集中投資

ウォーレン・バフェットは5月7日のテレビ番組でアップル株を「100%保有していもいい」と絶賛していました。

7日の米株式市場でアップルに買いが先行し、一時前週末比2.1%高の187.67ドルと2営業日続けて上場来高値を更新した。

米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が7日の米テレビで、アップル株を「100%保有してもいい」と絶賛した。買い継続の意思を示したと受け止められ、株価上昇につながった。

出典:バフェット氏「アップル株、100%保有してもいい」 連日で上場来高値 – 日本経済新聞(2018年5月7日配信)

何を隠そう、バフェットの経営するバークシャー・ハサウェイも近年、アップルへの投資を拡大し続けて、今では同社は第1位の投資先になっています。

<バークシャー・ハサウェイ(2018年3月末時点)>

投資先(ポートフォリオ比率)
1位:アップル(21.27%)
2位:ウェルズ・ファーゴ(12.66%)
3位:バンク・オブ・アメリカ(10.78%)
4位:クラフト・ハインツ(10.74%)
5位:コカ・コーラ(9.19%)
6位:アメリカン・エキスプレス(7.48%)

  • バフェットはアップルに資金の21.27%を割り当てている
  • ハーバード大学はアップルに資金の34.8%を割り当てている

アップルについては、バフェットもハーバードマネジメントも最も自信のある投資先なのでしょう。

ハーバード大は「バフェット流投資」を採用している

ハーバード大学の銘柄選定はバフェットに近いものを感じます。

バフェットは「消費者独占型企業を割安の時に購入する」という投資手法を実践しています。この点において、ハーバード大学はバフェット流投資を行っているように見えるのです。

これまでバフェットはハイテク企業を避けてきたことは有名ですが、今ではまったく真逆の行動を取っています。

そして、ハーバードマネジメントはこれまでS&P500などのETFを軸にポートフォリオを組んで運用していましたが、ここに来て、突然「ハイテク集中投資」に舵を切ってきました。

Next: 2000年のITバブル崩壊の悪夢と、バフェットの賢明な投資判断

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