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トランプ大統領も譲歩。「不法移民の親子分離停止」で考える国境の難しさ=矢口新

不法移民親子の分離収容を撤回するなど、トランプ大統領の政策がやや緩和されました。世界中で移民問題が深刻化するなか、国境とは何かを考える必要があります。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2018年6月26日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

メキシコ・米国間ほか、欧州にも国境に壁をつくる国が増えている

「親子を引き離す」移民政策

トランプ大統領の移民政策が、わずかながらに緩和された。

不法移民の収容施設は「不法入国・不法残留」という犯罪者向けなので、家族に連れられて来た子供たちまでは犯罪に問えないと、子供たちを家族から分離して別の施設に収容した

ところが、親との別れに泣き叫ぶ子供たち、シリア難民の施設に外から鍵をつけたような子供たちの「収容所」など、実態はより非人道的だった。

そこで、自身も移民だったメラニア夫人の反対発言などがトランプ大統領を動かし、分離収容だけが緩和された。

とはいえ、メキシコ国境との壁建設は今後も続けるとした。

世界中で「移民」が問題になっている

移民問題はEUをも揺り動かしている。EUからの離脱を決めた英国のブレグジットの理由の1つが移民政策だ。

英国だけでなく、EU内ならパスポートなしで自由に移動できることを保証した「シェンゲン協定」が有名無実化してきている。

イタリアは現状の移民政策に否定的な連立政権が誕生し、ドイツの連立政権は成立間もないというのに移民政策を巡って崩壊の危機にある。

そうしたことを受け、米ニューヨーク・タイムズ紙は、移民問題を特集した。その内容を翻訳しながら紹介したい。

「政治不安・経済的な理由」から海外へ移り住む

<移民の割合>

世界で最も移民の割合が高いのはUAE(アラブ首長国連邦)で、人口の88%が移民だ。

次いでフランス領ギアナが40%、サウジアラビア37%、スイス30%、オーストラリア29%、イスラエル25%、ニュージーランド23%、カナダ22%、カザフスタン20%などが高率だ。
件の米国は15%、英国は13%、イタリアは10%、ドイツは15%となっている。

<移民がもともと居た本籍地の割合>

在外居住者の本籍地で最も多いのは、1990年時点のトップ10が、ロシア1270万人、アフガニスタン670万人、インド670万、ウクライナ550万人、バングラデシュ550万人、メキシコ440万人、中国420万人、英国380万人、イタリア340万人、パキスタンが330万人だった。

それが2017年時点では、インド1660万人、メキシコ1300万人、ロシア1060万人、中国1000万人、バングラデシュ750万人、シリア690万人、パキスタン600万人、ウクライナ590万人、フィリピン570万人、英国490万人となっている。

海外居住の理由は、政治的な不安定、経済的なものが多い。安全保障や生活の質の面でのベターライフを求めるものが最も大きいのだ。

一方で、英国人に見られるように、海外居住も人生の選択肢の1つになっている例も見られる。

欧州にも国境に壁を設置する国々が増えているが、ここで問い直す必要に迫られているのが、「国境とは何か?」という問題だ。

Next: 国境に縛られないロマ(移動型民族)を、世界は憧れながらも蔑む

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