仮想通貨事情に参入したGMOを取り上げます。独自開発のマイニングマシンを発売するなど注目を集めていますが、事業としてどうなのか。決算から読み解きます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年6月7日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
競合がひしめく仮想通貨「交換」事業。マイニングはどうなのか?
「仮想通貨事業」の中身が見えてきた
今回はGMOを取り上げます。GMOの決算において、特に仮想通貨事業に関して詳しい情報が開示され始めました。そのビジネスモデルの勝算について分析・解説していきたいと思います。
はじめに、2018年1月から3月期の決算の概要を見ていきましょう。
売上は四半期で437億円、YoY+21.3%と大きく成長しています。営業利益に関しては52.6億円でYoY+49%とこちらも非常に力強い成長となっています。
セグメント別に見てみると、全セグメントで非常に好調な決算となっていることは間違いありませんが、その中でも今日は特に仮想通貨セグメントにフォーカスして詳しく見ていきたいと思います。
仮想通貨セグメントは、売上が6.3億円、営業利益は▲7.3億円となっています。
3つの関連事業と会計方針
仮想通貨事業と言うと取引所や交換所をイメージされる方が多いかもしれませんが、GMOの仮想通貨事業は少し様子が異なります。
このスライドに書かれている通り、GMOの仮想通貨事業は、仮想通貨のマイニングを中心に行われています。
当然、マイニングをした仮想通貨を交換したり、決済に利用したりという事業を展開していくことにもなるわけですが、あくまで「仮想通貨のマイニングが中心」という、ネットインフラを長年提供してきているGMOらしいビジネスになりそうに見えます。
マイニング事業とはどのようなものであるかについては、後半でKPIとともに説明します。
今回の決算資料では、「マイニングとそれに関連した会計処理の方針」が開示されています。
会計処理の方針を簡単に説明すると、まずマイニングに関しては採掘時に時価で収益を認識します。
そして採掘した仮想通貨を売却した場合、売却時に損益が認識されます。売却せずに仮想通貨を保有している場合は、期末時点で評価損益を計上するという形になります。
この記事では、今回の決算で開示された内容から、「GMOの仮想通貨セグメントのビジネスモデルとKPI」を考察していきたいと思います。
そしてマイニング事業の今後の展開と、GMOならではの勝ち筋を見極めてみたいと思います。
この記事は仮想通貨事業に関心がある方、仮想通貨そのものに関心がある方、フィンテックの事業の新しいビジネスモデルに関心がある方に適した内容になっています。
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