米国先物市場を運営管理するCMEグループが、自己勘定取引で自社用の金・銀地金の現物引き取りを行っていることはあまり知られていません。そして、その量が最近になって急増しています。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2018年9月3日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
何かが起こる? CMEグループが例年になく金・銀を蓄えている…
米先物市場の運営会社が金地金を溜め込んでいる?
年に数度だけブリオン・バンクの自己勘定取引の現物引き取りの状況を解説しています。今回は年に1度の内容です。
米国先物市場を運営管理しているのは、CMEグループです。もちろん、金・銀・プラチナ等の貴金属先物市場も運営管理しています。
このグループもブリオン・バンクと同様に、自己勘定取引で自社用の金や銀の現物地金の現物引き取りをしていることに関しては、ほとんど知られていないようです。
その金地金の現物引き取り量が、最近になって急増しています。まずは以下のグラフをご覧ください。
<(ア)現物金地金引き取り量の月次変動 ※2016年、2017年、2018年8月中旬まで>
直近データでは、2018年6月の217.724kg、すなわち約218kgです。これだけでは判り難いので、通年での比較を次に示します。
<(イ)通年比較のグラフ ※2018年は8月までの累計を1.5倍した年率換算>
2018年の勢いは2016年の2.3倍になる勢いです。
2016年:320,365
2017年:354,579
2018年:746,482 ※2018年1~8月までの累計を1.5倍した概算
<(ウ)2018年8月中旬時点のオリジナルデータの写し>
なぜこのように現物買い付け引き取りを増やしているのかは不明です。おそらく、何が起きても大丈夫なように、流動性が高い資産を増やしているのでしょう。または、自身も儲けたいからでしょうか?
次項では、銀地金の現物引き取りの状況を紹介します。
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