プーチン大統領の冷酷な仕打ち
そして極めつけが、12日にロシアのウラジオストックで行われた「東方経済フォーラム」での共同会見で、突然プーチン大統領が驚きの発言をして、安倍総理が凍り付いた事件です。
プーチン大統領は、私的な見解としながらも、今年末までに、前提条件なしの「日ロ平和条約」締結をしようと言い出したのです。10日の首脳会談では話題にならなかった問題を、突然公衆の面前で出してきました。
外交的には礼を失したものですが、会場から拍手が起こりました。しかし、平和条約締結の意味を考えれば、日本サイドはとても受け入れられません。
平和条約締結ということは、その時点で両国の国境が確定することを前提としています。つまり、北方領土は第二次大戦でソ連の領土となったということを前提に条約を結ぶわけで、そうなると北方領土交渉はできなくなります。
北方領土問題「交渉拒否」を表明
一部のメディアは、これを領土問題の先送りと書いていますが、先送りではなく、ロシアの「交渉拒否」表明にほかなりません。
実際、菅官房長官はすぐに会見し、「北方4島の帰属問題を解決したのちに平和条約となるべきもので、それなしの平和条約は日本としては受け入れられない」と述べています。当然です。
プーチン大統領との首脳会談は22回目になるそうですが、その割に安倍・プーチン両氏の友情は感じられず、10日の首脳会談でも安倍総理は2時間半も待たされた挙句、会談後にはプーチン大統領は握手もせずに背中を向けて立ち去りました。極東経済開発でも、日本企業が排除されるケースも少なくありません。
このプーチン大統領、表向きは米国と対立しているふりを見せますが、裏ではキッシンジャー元国務長官を軸にトランプ氏と連携していると見られています。
もしトランプ、プーチン両名が結託して反安倍に動いているとすれば、安倍総理にとってこれはかなりの、恐らくハリケーン級の逆風となります。