中国のEC市場でアリババに売り上げを追い上げるJD.com(JD、京東 ※ジンドン)とはどんな企業なのでしょうか。そのビジネスモデルの違いについて解説します。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)
アリババとJD.comの差を生みだす、ビジネスモデルの違いに注目
一度も黒字を出さないまま、首位のアリババを猛追
JD.com(JD:US、京東 ※ジンドン)は、中国ネット通販でアリババ(BABA)に次ぐ2位のシェアを持つ企業です。
アリババとの最大の違いは、そのビジネスモデルです。アリババは業者にネット上の「売り場」を提供して手数料を得るのが主な収入源であるのに対し、JDは自ら直接買付けを行って販売しています。さらには、物流まで自前で行う上下一貫モデルです。
この2社は中国市場でし烈な競争を繰り広げています。時価総額ではアリババがJDの7倍と圧倒していますが、JDのバックには20%の株式を握る巨大企業テンセントが付いています。アリババとテンセントは、あらゆる市場でぶつかっているのです。(下図:天猫=アリババ(Tモール)、京東=JD.com)
もともとはアリババが圧倒的でしたが、JDが追い上げる展開です。自社で買い付けかつ配送まで行うがゆえの商品に対する安心感が躍進の背景にあると考えます。