世間の注目が米中間選挙に集まるなか、中国がトランプ減税を超える「大型減税」を打ち出すとの憶測があります。実現すれば中国が覇権を握る日は近づくでしょう。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)
※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2018年11月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
トランプ減税からしっかり学んだ中国は「持続可能な大成長」へ
上海株式市場は大底を打ったのか?
10月の上海株式市場は一時的に節目の2,500ポイントを下回り、下落幅が年初から30%となる事態が発生しました。およそ3兆ドルの国富が年初から消し飛んだことになります。
これに対して私は当メルマガで、中国北京政府では、未だに「対処療法」「応急措置」的な政策しか発表していないというお話をしました。
10月の中国の上場企業の多くは、資金繰りに困っていました。中国企業の多くが「保有株式を担保にして銀行から融資を受けている」状態。
ところが、この「担保の保有株式」が年初から30%も下落すると、企業は追証に追い込まれて、強制売買にもつながって「システミックな金融危機」の引き金になる恐れまでありました。
こういった「システミックリスク」に対しては、中国北京政府は市場に流動性(=マネー)を供給するのではなく、「資金繰りに困っている個別企業ごとに流動性(=マネー)を供給する」という、荒業(あらわざ)というか応急処置で対応します。すごい応急処置ですね。
市場メカニズムもあったもんじゃないんです。共産党独裁政権による「裁量権」満載の荒業(あらわざ)です。
さらに、10月19日に証券監督管理委員会は国営メディアを総動員して、「中国株式が割安であること」を訴えました。
これを受けて、上海株式市場は19日(金)には2.6%の急騰、週明けの10月22日(月)には、4.0%以上の急騰を演じました。
ここらあたりが、上海株式市場の大底だったように思えます。
すでに個人消費が極めて旺盛な中国経済
国有企業がボロボロでも、今の中国経済では、意外や意外、個人消費がとても強いです。
中国の消費者は今では強大な力を持っています。個人消費が中国の成長に占める割合は、いまや80%近くになっています。2010年頃の45%から急拡大していているのです。
対する米国のそれは70%前後です。
この数字だけ眺めても、「いかに今の中国国内の個人消費が旺盛であるか」をご理解いただけると思います。
今や中国では、個人消費が中国経済をけん引するようになっているわけです。まさしく「隔世の感」があります。
ですから、この個人消費を刺激すれば、中国のDDP成長率が大きく上向くのです。その反対に、この個人消費をクールダウンすれば、中国のGDP成長率は大きく減速するのです。