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時代はトランプより習近平、中国発「大型減税」が世界経済を押し上げる=藤井まり子

落ち込んでいた自動車市場も復活か

実を言えば、2018年の中国で自動車が急に売れなくなったのも、個人消費が冷え込んでいるからでは一切なく、北京中央政府が「自動車所得税の優遇措置」を終わらせようとしていたから。このことが原因でした。

中国は今や世界最大の自動車市場です。「中国の自動車の税制優遇措置の段階的終了」は、「世界最大の自動車市場(=中国)」に急激な販売減を引き起こした。これに足を引っ張られた形で、中国の小売売上高の増加率は年初から「わずか6.4%増し」に落ち込んだわけです。

その自動車所得税に対して、新しい動きがありました。中国北京政府、動きが速いですね。

10月29日、中国政府は打って変わって「自動車取得税を現行の10%から5%へと減税する」計画を新しく発表しました。遅かれ早かれ、中国国内の自動車販売は息を吹き返すことでしょう。

自動車産業は、住宅産業の次に「すそ野」の広い産業です。鉄鋼から電子部品に至るまで広い「すそ野」を持っているのが、自動車産業なのです。自動車市場へのテコ入れは、他の産業への波及効果がとても大きいのです。

しかしながら、この日発表の「北京政府による自動車取得税の減税」計画は、これから予定されているであろう「中国北京政府による大型減税の始まり」のうえでは、まだまだ序の口でしょう。

景気刺激策は「減税」しかない

中国北京政府は、「中央主導でインフラ投資などの固定資産の分野で大型の刺激策を実施しても、それは不良債権を増やすだけで、持続可能性はない」ということを、「2008年の巨大インフラ投資」や「2016年の債務バブル再燃」で痛いほど学習しています。

今の中国で不良債権を増やさないで、持続可能な成長を目指すのならば、「不良債権を増やすことのない大型の景気刺激策は、個人減税などの内需刺激策しか、他に方法は無い」、「アメリカへの輸出減を埋め合わせるための内需刺激策は、大型減税・人民元高・金融緩和のトリプルメリットの風を吹かせて、個人消費を刺激するしか、他に方法は無い」ことは、北京政府も学習しているはず。

既に、北京政府は日本円にしておよそ5兆円規模の個人所得減税を発表しています。

Next: 2019年の中国は、トランプ減税をも上回る「大型の所得減税」を計画か

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