点数が高いと日常生活で様々なメリットが受けられる
──日常生活のいろいろな場面でメリットがあるわけですね。
A:中国の場合、ほとんどの人がアリペイとウィーチャットペイを使って生活していますので、私も中国に帰ると、スマホと充電器があればお財布がいらないんです。道端でリンゴ1個買うのでも、「アリペイかウィーチャットペイで払ってください」といわれます。
一方で、ゴマ信用の信用度が低くなるとペイメントにも悪い影響が出てしまいます。500点以下になるとちょっと心配になります。住宅ローンやクルマのローンを組みたいときにローンを断られることもあります。
水道や電気などの公共料金の支払いもすべてアリペイで、しかも先ほどお話したホテルの予約と同じようにデポジット方式なので、残高がなくて支払いが滞るとすぐに供給がストップされてしまいます。信用度が高い人は自動的にチャージされる仕組みがつくこともあるので、そうした心配はしなくてすみます。
──少し前までは中国では個人の信用を担保するものがなかったので、デポジットが多いのですね。
A:そうですね。供給する側と消費者の間になかなか信頼が生まれなかったのですが、いまではアリペイなりゴマ信用が信用を数値化する役割を果たしているわけです。
私は事業をしていますが、個人だけではなく、会社の信用度も点数化されます。点数が高いとパソコンをただで貸してくれたり、安く貸してくれたりします。ちなみに、領収書は日本と違って中国の国税局から発行されるのですが、それもアリペイが代行してくれますので便利です。会社が政府に払う税金もアリペイで納付できます。
──デポジットがいらなくなって生活が格段に便利になったわけですね。
A:ホテルをチェックアウトするときにフロントに並んで精算する必要がなくなり、キーを置いてそのまま出ていけばいいというようになりました。
──アメリカにはFICOスコアというのがあって、その点数と銀行の住宅ローン金利や預金金利が連動していますが、ゴマ信用も同じですか?
A:現時点では中国ではまだFICOスコアと同じではありませんが、これからそうなっていくだろうと思います。
──就職のときにゴマ信用の点数を見せることはあるのですか?
A:それはありません。あくまで個人情報ですから。
──点数が高いと女性にモテるということはありますか?
A:さあ、どうでしょうか。自分でアピールする人はいるかもしれませんが。
──点数をあまり人に見せないということですが、アリペイが情報として企業に売ることはないのですか?
A:正直に言って、中国では個人情報はどんなに注意してもどこからか漏れてしまうものです。情報を売っているかどうかは何ともいえません。証拠がないのですから、わからないとしかいいようがありません(笑)。
会社を経営していると、本当なら公的機関しかわからないはずの電話番号が流通してしまっているようで、「クルマ、いりませんか」とか「ローンはいりませんか」とかいろいろな電話がかかってきます。ですから、どこかで情報が売り買いされているのかもしれません。あくまで推測ですが。