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低ランクだと結婚できない…中国人に聞いた「信用スコア社会」の実態と芝麻信用の影響力=岩田昭男

消費意欲が旺盛な中国人富裕層

──中国の方は、アリペイとウィーチャットペイはどちらかひとつを選んで使っているのですか?

A:99.9%の人が両方持っていて、どちらかをメインにして使っています。ただ、ウィーチャットペイは中国のスマホには100%入っています。ウィーチャットペイは友だち同士のお金のやりとりが簡単にできるというアプリとしてスタートしました。その後、アリペイと同様、決済手段となりました。

──中国初のクレジットカードとして登場した銀聯カードは、QRコード決済の影響が大きいのではないですか。

A:スマホ決済のための施策はいろいろと考えているようですが、銀聯カードがシェアを確保するのはおそらく難しいと思います。使う人がいないのですから。もちろん中国のクレジットカードには必ず銀聯がついているので、VISAやマスターと同じ国際ブランドとして残っています。非常に高価な買い物をするときには銀聯カードを使うようです。

──何千万円もする超高級腕時計を買うときに銀聯カードを使うと聞いたことがあります。

A:アリペイなどですと、それだけの金額はチャージしていませんから。ただし、銀行口座と紐づけられてもいるので、その場でチャージすることもできます。ちなみに、銀行からアリペイにチャージするときはタダですが、お金を銀行に戻すときは手数料をとられます。

──日本のヨドバシカメラで100万円くらいの腕時計を買いたいと思えば、店頭でチャージできるわけですね。

A:日本に観光に来る中国人なら200万円くらいならあらかじめチャージして入っていると思います。日本人も海外に出かけるとお土産をたくさん買いますが、中国人も同じです。東アジア圏の国の共通の文化なのではないでしょうか。ヨーロッパの人は体験にはお金を払いますが、お土産はまったく買いません。

ペイペイの「100億円あげちゃうキャンペーン」失敗のワケ

──日本ではPayPayが「100憶円キャンペーン」をやって話題になりましたが、肝心の使える店がコンビニのファミリーマートと家電のビックカメラくらいで、利便性を感じません。

A:あのくらいの規模のキャンペーンはアリペイでは珍しくありません。たしか昨年(2018年)は国慶節のときに、アリペイのイベントで全員ではないのですが、日本に旅行した方からランダムに選んで、買い物した金額をゼロにするというキャンペーンを行いました。

私も一度当たったことがあって、数千円だったのですが、会計をするときに「アリペイで支払います」というと、いくらいくらですとなったのですが、そのあとすぐに「あっ、ゼロです」といわれました。つまり全額返金してくれるのです。

それからアリペイを使えるところでも、その場でスキャンすると場合(ユーザースキャン)によってはランダムで5%割引、10%割引、人によっては15%割引されます。ですから、その場で請求金額が目に見えるかたちで減るので好評です。

──ソフトバンクはアリペイのことをよく知っているので似たようなキャンペーンをやったのでしょう。ただし、4カ月やることにしていたキャンペーンがたった10日で終了してしまいました。100億円を突破してしまったからです。

A:中国ではそういうことはないと思います。アリペイは国慶節の間はやるといえば、途中で打ち切ることはありません。あるいは期間を設けずに「早い者勝ち」と最初に決めておけばいいのです。

──使おうと思ってペイペイのアプリを入れていた人も、トラブルがあると躊躇する人もいるでしょう。

A:すでに金融機関になっているアリババとそうではないソフトバンクの違いかもしれません。

──楽天はそのあたりはうまいですね。「山分けキャンペーン」といっても結局、いくらで山分けしたかは絶対にいいません。ペイペイは100憶円にずいぶんこだわっていましたが。

A:「1兆円」キャンペーンにしたらインパクトが違ったかもしれません。ペイメントに限れば、いかに最初に使わせるかです。

──日本企業のなかでQRコード決済をいち早く始めたのはLINEやオリガミペイですが、これらをどう見ていますか。

A:オリガミペイはアリペイとウィーチャットペイの代理店になっています。私がロフトで買い物をするときはすべてアリペイを使いますが、それを可能にしているのはオリガミペイです。

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