貧しさは日本が「敗北」した証
今でも、経済新聞には「海外の企業を買収」とか「日本製品が某国の交通システムで採用」とか、「某社の車がアメリカで人気ナンバーワン」といった記事が出ると、何となく嬉しいニュースということになります。
ですが、これはマジックであり、日本国内のGDPにも税収にも、そしてトリクルダウンという形での好影響も「全くない」のです。
私は、トランプ流の「経済ナショナリズム」は大嫌いですし、経済というのは国際分業によるグローバリズムが「最適解」になるし、それをねじ曲げると、最終的には経済はダメになると思っています。
ですからこの日本流の空洞化について、税制や規制でなんとかしようとは思いません。ですが、これは明らかに敗北であり、敗北ゆえに貧しくなっているというのは厳然たる事実です。そのことから目を背けるというのは、やはり政治としても財界としても、あるいは世論としても間違っていると思います。
部品製造と、日本語文書による事務文書と、そして観光業が産業の柱などというスカスカな経済はもはや「先進国クオリティ」ではありません。そのこと自体が失敗であり、敗北であり、歯を食いしばって、その負のトレンドを反転させることにしか、国の繁栄と個人の成功はないのではないでしょうか?
※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2019年1月9日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に『今月すべて無料のお試し購読』をどうぞ。
『冷泉彰彦のプリンストン通信』(2019年1月9日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、「アメリカでの文脈」をお伝えする。「日本を少し離れて」見つめる。この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。