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先進国から転げ落ちる日本、産業構造の貧弱化で日本人はさらに貧乏に=冷泉彰彦

残っている日本の主要産業はわずか3つ…

一部にはグローバルな労働市場が発達したからだという意見がありますが、海で囲まれた日本の場合に、モノは出入りしますが、サービス業に関しては、世界の安い賃金に影響されて日本も賃金が下がるというのは、説明として納得感はありません

何が問題なのでしょうか?

各企業が20世紀や昭和の時代と比べて、著しく強欲になっていて、一部の管理職や重役だけが巨額の報酬を独り占めしていて、給与を切り下げているからなのでしょうか?

そうではないということをしっかり理解することがまず必要です。

問題は日本の産業構造がおかしくなっているということです。もっといえば「スカスカになっているのです。

現在の日本には、昔のように「世界の市場で大きなシェアを持っているエレクトロニクス製品」とか「集中豪雨的輸出だとして怒られるぐらい世界で売れている自動車」などの製造業はほとんど残っていません。

では、何が残っているのかというと具体的には日本の主要産業は3つ、

  • 部品産業
  • 日本語による非効率な事務仕事
  • 観光がらみのサービス産業

があるだけです。もちろん「だけ」というのはやや言い過ぎで、日本国内向けの医療や福祉、サービス業はあるし、自動車の場合は一部は完成車も作っています。ですが、主要な産業といえばこの3つになっているのです。

例えばスマホというビジネスがあります。世界の主要なシェアは、アップル、サムソン、LGそして元ノキアのマイクロソフト、元モトローラのグーグルなどがあります。

そして日本は部品産業に転落しています。液晶、半導体、アンテナ周りの複雑でミクロの部品など、日本の製造業がなくては世界のスマホは成立しません。

ですが、どんなに技術力を誇っても、部品産業はしょせん部品産業なのです。最終メーカーが価格も発注量も握っており、部品産業はベンダーとして受け身のビジネス薄利かつリスクのあるビジネスになってしまいます。

その昔、ソニーがウォークマンで世界の若者文化を席巻したように、パナソニックが「性能の良すぎる」テレビやビデオ機器で世界から怒られたりしながら、物凄い収益を上げていたように、最終製品を作るということはしていないのです。

例外としては、B2Bつまり法人や政府向けがありますし、パナソニックの場合もこちらに逃げていますが、消費者向けの最終製品ということでは、日本のエレクトロニクスの場合は見る影もありません。東芝の場合は、何と言っても半導体やハードディスクですが、それすらも売ってしまいました

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