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先進国から転げ落ちる日本、産業構造の貧弱化で日本人はさらに貧乏に=冷泉彰彦

一部報道などでは日本経済の好調さが伝えられていますが、実感として受け止められないというのが正直なところではないでしょうか。なぜこのような事態に陥っているのでしょうか。米国在住の作家・冷泉彰彦さんはメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』でその理由を「日本の産業構造がおかしくなったため」とし、この「負のトレンド」を反転させなければ国の繁栄と個人の成功はありえないと結んでいます。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2019年1月9日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に『今月すべて無料のお試し購読』をどうぞ。

プロフィール:冷泉彰彦(れいぜい あきひこ)
東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒業。福武書店(現、ベネッセ・コーポレーション)、ベルリッツ・インターナショナル社、米国ニュージャージー州立ラトガース大学講師を経て、現在はプリンストン日本語学校高等部主任。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。

貧しさは日本が「敗北」した証…。残る主要産業はわずか3つだけ

スカスカになった日本経済、どうしてこうなったのか?

経済新聞や安倍政権の周囲では、日本経済は絶好調だとか、多くの企業が史上空前の利益を上げているという声があります。ですが、そんな好況感は、日本全国を見渡すと全く感じられません

国全体の「購買力」は弱り切ったままです。観光ブームということもありますが、結局はインバウンド、つまり訪日外国人が支えています。例えば、星野リゾートの場合は、価格帯によってブランドを分けていますが、フラッグシップブランドの「星のや」の場合は、一泊二食で4万とか5万という強気の価格設定ですが、お客の多くはインバウンドです。

同じく北海道のリゾート産業の雄である「鶴雅グループ」は、支笏湖に「碧の座(あおのざ)」という超高級旅館を建設中ですが、同じく価格帯は4万から6万でこれもインバウンドがメインでしょう。

JR九州が「ななつ星」という予約制の豪華寝台列車を走らせて話題になりましたが、もっと豪華なJR西日本の「瑞風」などは、シンガポールからビジネスクラスで往復するパッケージツアーなども組んでいます。

とにかく景気がいい話はインバウンド向けぐらいで、国内の需要向けについては、相変わらず、オールバイキング形式で一泊二食7,800円とかが主流です。コンビニなどの弁当や牛丼の価格はワンコイン以下の安いままであり、それはそのまま多くの人の「昼食代の予算を反映しています。

花火大会やパレードなど、「無料のイベント」が行われると、空前の人出になるので、結局は警備費がかさんで大会が中止になったりしますが、では有料化すればどうかというと、いきなりパタンと客足は途絶えるわけです。

購買力の衰えということでは、例えば「若者のお金離れ」などという言い方があって、世代間格差が原因だという声もあります。また「非正規差別」が原因であり、派遣労働の規制緩和をしたのが悪いという論調も相変わらず多いわけです。

多くの専門職がそれだけでは生活できなくなっている」と言われています。例えば、タクシーのドライバーは、ウーバーやリフトがまだ上陸したわけでもないのに、需要低迷と供給過剰のために苦しんでいます。また、バスの運転手の給与も低くなっています。電車の運転手に至っては、自動運転(実際は遠隔操作に近いので心配は要らないのですが)を本格化させる話も出ています。

例えば、安倍総理は毎年春になると財界に対して「もっと給与を上げてくれ」という要求をしていますが、財界サイドは総理に頼まれてもなかなか賃上げに応じようとはしません

報道では「史上最高の決算」とか「アベノミクス株高」などと言っているのに、どうして各企業は国内での賃上げを渋るのでしょうか?どうして昔はちゃんと生活できていた職が、非正規になったり、給与が極端に安くなっているのでしょうか?

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