なぜ日本は先進国から滑り落ちたのか?
事務ということでは、とにかく「原本」「ハンコ」「ファックス」「稟議書」「ファイリング」などといった昭和の化石のような日本語文書の管理ということが、今でも官庁でも、民間でも行われています。そこで職を得ている人は猛烈な数になり、そのコストも膨大ですが、どういうわけか日本の企業や政府はこれが止められないわけです。
ですが、ここ数年、銀行業務がフィンテック化して、人も紙も支店も不要になって来ています。同じような革命が全業種と行政に波及しなくては、この非効率な作業が日本経済を滅ぼすと思います。
観光業ですが、すでにGDPへの貢献ということでは自動車産業を超えたと言われています。それ自体は結構なことで、プラスアルファの経済として成立するのであれば、それはそれで良いことです。訪日外国人年間3,000万が実現し、政府目標の4,000万が視野に入ったというのも良いことです。
ですが、問題は観光業というのは労働集約型であるし、低付加価値かつ固定費が高いビジネスだということです。それが主要産業だというのは、その国の経済としては決して立派ではありません。
つまり、産業構造として日本は先進国から滑り落ちそうになっているのです。
何がいけなかったのでしょう。理由は次のようなことです。
- 自動車の次として宇宙航空に本格進出できなかった
- コンピュータ時代に合わせてOSやアプリなどソフトの分野で負けた、どころかコンピュータ関連の人材をバカにして育成もしなかった
- バイオや製薬で世界のトップを走るだけの人材育成や投資をしなかった
- 金融のグローバル化に全く対応しなかった
- 英語での事務仕事ができず、香港やシンガポールにアジアのビジネスセンターの座を完全に奪われ、そのことを恥じてすらいない
ということです。つまり全体の戦略が全く違っていたということです。
もちろん、企業単位では例えばトヨタやホンダ、ソニー、コマツなど、多国籍企業として優良な企業はたくさんあります。ですが、その多くは、製造販売だけでなく、研究開発や設計も海外でやっているのです。そうした数字は日本のGDPにはなりません。
史上空前の利益というのも、その多くは海外の収益であり、連結決算では円安のおかげで膨張して見えるかもしれませんが、カネ自体は海外で再投資されています。
いやいや、日本企業は好業績で、配当もしているという反論もあるかもしれませんが、そもそも優良な多国籍企業の場合は、外国の株主が多いわけで、配当も海外でグルグル回るだけです。
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