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東京を攻めるウエルシアと、窮地に立つマツキヨ。次にドラッグストア覇権を握るのは?=佐藤昌司

激しさを増す一方の覇権争い

もっともこういった高付加価値型のドラッグストアを展開するのはマツキヨHDだけではない。ウエルシアHDは、オーガニックコスメやサロン用のヘアケア用品などが充実し、調剤薬局やネイル・エステのサービスも併設する都市型のドラッグストア「ビビオン」を16年6月から出店を始めている。現在、東京と京都の2店舗にとどまるが、化粧品強化路線に合わせてビビオンを拡大させる可能性が十分あるだろう。

ウエルシアHDとマツキヨHDの競争は今後激化しそうだが、競争を繰り広げるのはもちろんこの2社だけではない。両社が地盤とする関東はツルハHDとサンドラッグの地盤でもある。

ツルハHDは北海道旭川市で創業したこともあり、北海道で勢力を伸ばしてきた。現在は札幌市に本社を構える。北海道から南下するかたちで東北や関東などにも店舗網を広げ、東日本を中心に勢力を誇っている。同社は積極的なM&Aで店舗数を伸ばしてきており、昨年、国内のドラッグストア業界で初となる2,000店超えを達成した。中長期では24年5月期までに3,000店を出し、売上高1兆円を目指す。

サンドラッグは東京都世田谷区で創業し、関東を中心に勢力を拡大してきた。現在、東京都府中市に本社を構える。積極的な出店のほか、徹底したコスト管理で収益を伸ばしてきた。17年度の売上高販管費比率は18%台。26%のウエルシアHDや24%のマツキヨHD、22%台のツルハHDと比べて圧倒的に低いことがわかる。コスト競争力を武器に、ウエルシアHDなど競合との競争を制したい考えだ。

コスモス薬品は宮崎県延岡市で創業。九州を中心に勢力を拡大してきた。現在、福岡市に本社を構える。同社は食品販売の割合が大きいことで知られ、17年度は56.2%にも上る。食品を安値で販売して集客し、利益率の高い医薬品で利益を稼ぐ。販管費比率が低いのも強みで、サンドラッグ(18%台)をさらに下回る15%台だ。現在の出店地域は中部以西となっているが、関東などにも進出していくことを表明しており、今後ウエルシアHDなどとの競争激化も予想される。

大手各社は資金力を背景にM&Aを積極的に繰り広げており、大手による寡占化が今後ますます進むとみられる。競争は激しさを増しており、どの企業が覇権を握るのかに注目が集まる。

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店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』(2019年1月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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