なぜ日本国は倒産しない?
日銀の債務超過が叫ばれて2年以上経ちましたが、日本政府に関しては、すでに債務超過状態です。
借金の方が多いのに、なぜ、日本国は倒産しないのでしょう?
ポール・クルーグマンを始めとする多くの新表券主義のケインズ派たちは、いちように、このように言います。
「日本は借金も多いが、資産も多いので心配ないさぁ~」
新表券主義とは、唯一絶対価値を持っている「正貨」、つまり金(ゴールド)と交換できない不換紙幣を元にして経済を分析する理論のことで、リフレ派のベースになっている虚構の理論の一つです。
新表券主義が「虚構の理論」という意味は、「正貨」から見た場合にそうなるのであって、その通貨の価値の裏付けのない不換紙幣を増やしたり減らしたりしたところで、もともと「通貨幻想」の上に成り立っている経済なのですから、最終的には破綻が100%やってくるということです。
明らかにリセッションに入った日本経済
「日本は借金も多いが資産も多いので心配ないさぁ〜」と主張している人たちの一部が、嬉々として持ち出してくる数字に「国民総資産」があります。
日経新聞(2018年1月17日付)によると、内閣府が2018年1月17日に発表した「国民経済計算年次推計」では、「地価の上昇によって、国民総資産は2.9%増の1京496兆円、負債が3.5%増の7,146兆円となり、ともに過去最大だった」とのことです。
※参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25802130X10C18A1EE8000/
しかし、肝心なことは「国民総資産」−「負債」から導き出される「正味資産(純資産)」であって、平成6年末と比べると約6%減っていることが分かります。
※参考:2016年度国民経済計算(2011年基準・2008SNA) ※下のほうにある「ストック編」→「統合勘定(Excel形式:87KB)」で確認できます。
最新版は、修正が加えられた「2017年度国民経済計算(2011年基準・2008SNA)」→「ストック編」→「統合勘定(Excel形式:88KB)」で閲覧できます。
この最新版によると、2017年度の正味資産は3,384兆円と増えていますが、負債も大幅に増えています。
ケインズ派は「日本の総資産1京496兆円」という途方もない数字を前面に押し出そうとしますが、この日経新聞が伝えていることは、日銀の異次元の量的緩和が生み出した資産バブルをもってしても「日本の資産状況が悪化している」ということです。
そもそも、国民総資産や総負債を論じても、これらの数字自体が無意味なので、今後、この手のニュースが出てきても、いっさい無視してください。
すでに、上場企業の下方修正が相次いでおり、春闘のベア交渉も前年割れが相次いでいます。今年のうちに、「大企業のリストラ相次ぐ」の見出しが新聞の第一面を飾ることになるでしょう。
また、当メルマガで「2019年問題によって都心のタワーマンションの暴落が始まる」と3年以上前から警告してきたように、まず、神奈川県川崎市・武蔵小杉のタワーマンションの価格が下落し始めており、二子玉川も多くの不動産専門家が指摘しきたように「価格暴落・要注意エリア」に加えられています。
そして、今年から、中国の富裕層が東京オリンピックによる価格上昇を当て込んで買い込んだタワーマンションの投げ売りも加わって都内のマンション価格を引き下げるでしょう。