消費増税も見送られる可能性
さらに、去年から食料品の物価上昇が始まっており、長い間、ふつふつと沸騰してきた潜在インフレが顕在化しようとしています(※潜在インフレについては、メルマガ第286号パート2「間近に迫りつつあるリセッションと再び輝きを取り戻す金(ゴールド)- その2」にて詳述)。
したがって、10月に予定されている10%への消費税引き上げは、今度も見送られる可能性が出てきました。
その場合、7月の参院選を睨みながら政府は「増税延期」をアナウンスするタイミングを慎重に選ぶはずですから、新天皇の即位の前後が予想されます。
「リーマンショックを凌駕する出来事が起こらない限り消費増税を断行する」との公約は、今度も反故にされる可能性が濃厚です。
すべては安倍政権のシナリオ通り?
ひとつ気になることは、日銀の雨宮正佳副総裁を招いての「山口県金融経済懇談会」が、その3週間ほど前に下関を訪れた安倍首相の「憲法改正を含め新たな国づくりに挑戦していく1年にしたい」との意思表示を受けたものであるという点です。
ほぼ確実に、日銀は量的緩和に踏み出し、安倍政権は、国民の虎の子であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の年金原資をことごとく株式市場に投入して株価を釣り上げようとするでしょう。
つまり、雨宮副総裁の講演の中身から、衆参同時選挙の可能性が出てきたということが分かるのです。
もし、安倍首相の再選が実現すれば、いつもの常套句…「国民の負託に応えるべく憲法改正を断行する!」と言って、今国会で見送りを決めたダウンロード違法化法案(著作権法改正案)を閣議決定しようとするでしょう。
これらは、すべて「セット」になっているのです。
米国市場にも崩壊シグナルが点灯
では、中国の大幅な景気減速がじわじわ効き始めて、日本にとって、いっそう頼みの綱となっている米国の市場は、どうなっているのでしょう?
去年の暮れに、とうとう米国の長期国債の利回りと短期国債の利回りとが逆転しました。この現象を「逆イールドカーブ」といって、これ以上ないほど明確な市場崩壊のシグナルとして恐れられているのです。
去年の暮れから本格化し始めた米中貿易戦争によって、すでに中国では消費が冷え込み始めていますが、米国でも、まもなく“小売の黙示録”が訪れるでしょう(※メルマガ第197号「『トランプの罠』- 3月15日、米国小売の黙示録が幕を開ける」にて詳述)。