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大学生の49.6%が「公務員になりたい」と回答、日本はあと数年で救いようのない国になる=鈴木傾城

なぜ安定志向に入ったのか?

若者の半分が「公務員になりたい」と考えているというのであれば、今の若者は将来の日本に対して「ワクワクしたものを感じていない」ということになる。

2019年1月の有効求人倍率は1.61倍である。この「1.61倍」というのは、仕事を探す人100人に対して「161人分の仕事がある」ということを意味しているので、数字だけを見ると「仕事は満ち溢れている」時期だ。

多くの企業が「うちで働ける人は来てくれ」と言っている。にも関わらず、若者たちは嬉々として民間に向かうわけではなく、ひたすら「安定している」という点を重視して公務員になりたいと願う。

「就職したい企業・業種」を調査したリスクモンスター社は、この傾向をこのように評している。

長期的には、少子高齢化によって労働人口(生産年齢人口)が減少していることで、労働力不足に伴う経済の停滞懸念が高まっている。今回のランキングにおいて、公務員の回答率(49.6%)が前回調査(10.8%)よりも大幅に上昇している点を考慮すると、学生が将来の日本経済の停滞を見越して「安定」志向を強めていると見ることもできよう。

出典:第5回「就職したい企業・業種ランキング」調査 – リスクモンスター株式会社(2019年2月27日配信)

この総評は非常に重要な点を示唆している。若者たちはなぜ将来の日本にワクワクしていないのか。なぜ将来は停滞していると思うのか。その答えはひとつの言葉に集約されているではないか。

少子高齢化によって停滞懸念が高まっている

日本の少子高齢化……。これこそが、公務員を志向する若者の「隠されたキーワード」だったのである。

少子高齢化の萌芽は「平成」の時代から始まっている。平成の政治家は「誰も」この少子高齢化という時限爆弾を本気で解決しようとしなかった。日本人もまたこの問題を深く憂慮してこなかった。

そのツケは、新しい時代「令和」に回される。人手不足で日本は停滞し、高齢化で日本は活気を失い、少子化で日本はイノベーションも失う。

この問題はもう解決されないかもしれない。完全に手遅れになるまで放置されるかもしれない。だから、若者たちはせめて自分だけでも、そんな停滞した社会でも心配なく生きられるような職を求めている

それが「公務員」だったということだ。

Next: 「令和の時代」は日本の正念場になる

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