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日本債券市場への危機意識~超長期債を中心とする乱高下は何を示すか=久保田博幸

債券市場も同様であり、本来の中心プレーヤーであったはずのメガバンクや生保、年金などはマイナス利回りの国債は購入しづらい上、新発債中心に日銀に国債が吸い上げられたことで市場の流動性が枯渇していることで手が出せない状況にある。

海外投資家は日本の機関投資家の外債需要にともなうドル需要を受けての調達した円の運用でマイナス金利での日本国債も購入できる外銀などはあっても、海外の年金運用などは日本国債の運用利回りの低下で保有額を減額させているところもある。

そして今回の乱高下によって最も動揺を見せたのがプライマリーディーラーなどの業者であったかもしれない。3月は償還月ということで新たに入札された10年債や30年債の発行日がいつもよりも先になる。

つまり国債を入札で仕入れて日銀の買入に向けて売却するという簡単なお仕事のはずが、保有期間が長くなることでその間の価格変動リスクに晒される。そのリスク回避の動きも今回の国債の相場の乱高下のひとつの要因となった可能性がある。

このように今回の日本国債の乱高下は償還月といった特殊な要因に影響された可能性はあるものの、日本の債券市場の流動性がかなり後退し、きっかけ次第では価格変動リスクに晒される懸念も示された。

すでに日本の債券市場を形成するプレーヤーは、発行する財務省と大量に買い入れる日銀、その間を繋ぐ業者だけという構図となっている。この業者がもし市場リスクを意識して売買を手控えるようなことになると債券市場そのものがさらに機能しなくなる懸念も存在しよう。

日銀の追加緩和期待も一部にあるようだが、日銀がもしまた国債の買い入れを増額するなり、マイナス金利を深めるような追加緩和を実施するとなれば、債券市場がさらに危機的状況に陥る懸念が存在することを改めて認識すべきであろう。

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牛さん熊さんの本日の債券』2016年3月10日号より
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