堅調な値動きを続けていたドル円は、先月に続いてまたもや雇用統計直前に急落してしまいました。それでは、今月もこの急落の背景を踏まえながら、雇用統計のトレード戦略について考えていきたいと思います。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)
想定レンジは1ドル=106.00~108.60円、今夜のトレード戦略は?
米経済の停滞を覆い隠していた米中合意期待が剥落して急落
先月は10年ぶりの低水準となったISM(米供給管理協会)製造業指数がきっかけとなって株価とともにドル円が比較的大きめの調整をしましたが、今月は米中合意への疑義がきっかけとなっています。
匿名筋の話として中国政府当局者が包括的な合意の実現に疑問を抱いているとのこと。中国はこれ以上の譲歩はしないとし、米国側が関税を撤廃する意向を示さない限り、さらなる合意には至らないと警告したと報じられています。
中身がないと批判されていた部分合意すらままならない中、報道が事実であるとすれば、中国が重要課題である知的財産権保護と国営企業優遇・補助金供与で譲歩しないということで、もはや米中通商交渉そのものが意義が問われることになりそうです。
そして、ここ数ヵ月は米経済の停滞感が経済指標の数字からも意識されていましたが、米企業決算の好調さや中国との通商交渉進展期待が覆い隠す形でリスクオン(選好)の株高、さらに円安となっていましたが、今回、そのうちの1つが変調という流れですね。
今週発表された企業決算は概ね好調ですし、米GDPなど重要な米国の経済指標もまずまずといった中で株価はギリギリ高値権を保っていますが、流石に今日の雇用統計やISMが予想を下回る数字となると調整の始まりになる可能性があります。
特に今年は株価が最高値を更新した直後に大きな調整を伴うのがパターンとなっていますので、その可能性を考えながら数字と結果を見ていく必要があるでしょう。