衆参両院ダブル選挙は7月10日(日)になるだろう。3発の“実弾”を国民に事前提示し、5月のG7議長国としての実績をアピールした上で、野党不和の間隙を突いて打って出る。(山崎和邦 週報『投機の流儀』(罫線・資料付))
自民党が満を持して放つ3発の実弾 その驚くべき経済効果とは?
衆参両院ダブル選挙は7月10日しかない
なぜ7月10日か。18歳以上の若者が初めて選挙に参加できるのは公示期間の関係で7月10日以降となる。7月17日は3連休の真ん中だし、翌週24日では学生は夏休みに入ってしまう。従って7月10日しかない。
安倍首相は5月26~27日開催のG7伊勢志摩サミットで、世界首脳をリードする議長国のまとめ役としての役割を果たして世間にアピールし、支持率を上げたタイミングで総選挙に打って出る。
無論、衆参両院ダブル選挙だ。なぜダブル選挙かと言えば、野党に対抗する手段がなく、まとまりもないからだ。坂本龍馬が今はいない。薩長の見解相違を乗り越え、好き嫌いを乗り越え、「倒幕」という一点突破で薩長同盟を締結させた坂本龍馬が今はいない。このスキを狙ってのダブル選挙であろう。
「憲法改正」だけでは自民は負ける
自民党としても、1955年結党以来の党是であり岸家の家訓でもある憲法改正だけを標榜しては負ける。それは第1次安倍内閣で「美しい国、日本」という情緒的な標語を打ち出して大失敗したことから学習しているはずだ。
そこで用意されたのが「経済」という実態ある現世的なテーマである。12年11月、衆院解散時には「日本を、取り戻す」「経済を、取り戻す」を標榜して、ホンネの憲法改正はオクビにも出さなかった。
この時は、「民主党から取り戻す」などとケチなことは言わず、「デフレと長期停滞から取り戻す」と意訳した。7月10日はそうはいかないかもしれない。衣の下に隠した憲法改正という鎧をアラワに見せなければならないであろう。それを犯した上で勝たねばならない。
そこで用意される現世的な「実弾」は次の3つとなる。
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