1.最低でも5兆円規模の財政出動
1つは最低でも5兆円規模の財政出動である。すなわち、アベノミクス「3本の矢」の2本目の矢「機動的な財政出動」の出番だ。財政出動は現ナマがまかれるのだから実体経済にただちに効く。しかもケインズの乗数効果がかかって効く。
これは、「失われた13年」(りそな銀行への公的資金注入で不良債権の最終的処理が終わるまでの1990年~2003年の13年)の時代、不良債権山積みの最中でさえも財政出動で景気が一時的に回復し、それを先取りして日経平均が6割上がったことが3回あったことからも明らかだ。相場は過去を記憶して動く生き物である。
2.消費増税の延期
もう1つの弾は消費増税の延期である。
今、一次産品の価格下落によって物価上昇が抑制され「2%」に届かない。この状態で消費増税を再延期しても、日本国債が暴落することは絶対ない。
無論、長期的な財政健全化を生き甲斐としている財務官僚は反対する。それを抑えるために安倍さんは、盟友麻生さんを財務官僚の人事権を握るトップの立場に据えてある。
財務官僚の秀才たちは人事権に一番弱い。しかも財務官僚出身の内閣官房参与・本田悦郎氏をして「消費増税を延期しなけりゃとんでもないことになる」とテレビカメラの前で喋らせている。
一昨年、5%から8%への消費増税の際、内閣官房参与の浜田宏一氏、本田悦郎氏などは大反対していた。景気が優先だと主張した。筆者にはそれを読めなかったが、彼らの言うとおり消費は低迷し「2%目標」の達成も延期された。原油価格の暴落という外部要因まで加わったが、ともかく、当時の彼らの増税反対はこと景気に関しては的中していた。
これでもし来年10%にすれば、3年間で5%から10%に上げた計算になり、「消費税を3年間で2倍にした先進国は世界に1つもない、そういう無茶はやるな」という言い分が出る。