108兆円規模の緊急経済対策を打ち出した安倍政権、その対策によるGDP押し上げ効果が3.8%分あるとの試算も出しています。つまり、20.9兆円分の効果です。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)
※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2020年4月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。
108兆円の経済対策で、GDP押し上げ効果「3.8%」分?
「アベノマスクの108兆円」、そんな揶揄もあるのでしょうか。
事業規模108兆円の経済対策を打ち出した安倍政権、その対策によるGDP(国内総生産)押し上げ効果が3.8%分あるとの試算も出しています。
※参考:緊急経済対策 「GDPを3.8%程度 押し上げ」安倍首相 | NHKニュース(2020年4月15日配信)
一方、IMF(国際通貨基金)の見通しでは、2020年の日本の実質GDP成長率は-5.2%。3.8%じゃ足りないみたいです。
さて、3.8%分っていくらなんでしょう。
日本のGDPはざっと550兆円です。ということは、3.8%は「20.9兆円」です。また、政府では3.8%のうち今般の対策で計上された分は2.7%としています。こちらだと15兆円弱、国債追加発行分とほぼ一致します。
108兆円をメディアや野党はこき下ろしました。対して、この3.8%については、識者の「1%台しか効果はないのでは」といったコメントは載せていますが、そもそもの金額等に関する説明、というか金額への翻訳は驚くほどありません。
どうせ批判するならば、政府が配布した資料をそのままコピペして記事にするだけでなく、ちゃんと「3.8%」等を金額に置き換えるなどして貰いたいものです。
そんなんだから、この難局にあって立憲民主党の議員がセクキャバなんて行っちゃうんです…。
ということで、今般の経済対策は精々15兆円程度のようです。
経済対策は9兆円程度?
しかも、その15兆円がすべて経済対策として使われるかも疑問です。
東日本大震災のときも、20兆円超の規模としながら、人材不足等により予算の多くが執行されないままでした。まぁ、仙台の繁華街、国分町では復興バブルにより、多くのアングラマネーが潤ったようですけど。
困難の具合を当時程度と見積もっても、予算の執行率は6割程度でしょうか。15兆円の6割で、9兆円です。これはGDPの1.6%に該当します。先ほどの有識者の1%台という概算も、この辺を勘所にしているようです。
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