トップを走るのは非上場のカインズ
じゃあ、日本でこのようなことを先進的に行っている企業があるのか?というと、実はひとつあります。それが業界首位の「カインズ」です。
冒頭で挙げた3社(DCM・コーナン・コメリ)を上回って、カインズは業界1位になっています。
それならば、なぜ冒頭の分析に入っていないのか?ということになると思うのですが、実はこのカインズ、残念なことに上場していません。だから、私たちが株を買うことはできないのです。
非上場ながらカインズはものすごく注目すべき対象で、実はスーパーのベイシアグループです。関東の田舎の方に行くとも必ずといってよいほど「ベイシア」がありますが、ここがものすごく安く商品を売っています。
ベイシアグループは、スーパーの成功の鍵となる「流通」がすごく上手だと言われています。この流通グループの中に入っているのがカインズであって、もっと言うと、いま絶好調の「ワークマン」も実はベイシアグループです。
ワークマンの株をカインズの創業者や、ベイシアカインズが直接持っていて、実質的に過半数を持っているという形のグループになっています。ワークマンが成功した鍵というのも、このベイシアグループの理念といったところにあるのでしょうし、もしカインズやベイシアといったところが上場していたとしたら、この新型コロナの状況を追い風にして、ますます成長を遂げたということが考えられます。そういった意味で、非常に惜しいです。
ホームセンターは注目株
ただし、私もホームセンターは他の会社についても注目していて、やっていることといえば規模拡大を目指しているというのは間違いありません。
DCMもよくM&Aなんかをしていますし、コーナンについても同じような形で行なっています。プライベートブランドの拡充というのはもちろんですし、最近になって利益が向上してきたのも、このプライベートブランドが増えたからという側面もあります。
ウェブ対応がもっとも進んでいるのは、やはりカインズで圧倒的と言える状況なのですが、その他の会社も徐々に始めているというところであります。
惜しむらくは、まだ分散しすぎていて、十分な規模(たとえば売上高1兆円ぐらいは欲しいところ)にまで、いずれの会社も達していないという状況があります。
しかしながら、この中で良い経営をして、将来のホームデポのような会社になるところがあれば注目に値すると思いますし、またこの株価・PERが低いということも考えると、少なくとも大きく値下がりするというようなリスクはかなり抑えられるのではないかと考えます。
そういった観点で、私はこれからの行方に注目してみたいと思っています。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2020年9月9日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。