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報道されぬ米抗議デモの瀬戸際。警官消滅と治安悪化で内戦勃発も=高島康司

連鎖する悪循環

これを見ると、いまのアメリカの大都市が陥りつつある悪循環は明らかだ。

暴徒化した「BLM」の抗議運動と、トランプ支持の武装化した極右団体や自警団が衝突して、死者が出る状況になっている。

一方、治安維持を行っている警察は「BLM」やそれに賛同する市民から強く憎まれており、大都市では警官の襲撃が相次いでいる。また、特に民主党の知事や市長のいる地域では、「BLM」の要求を受け入れ、警察の予算削減が実施されている。

警察にはこの状況への憤りが蔓延しており、各地で警官の辞職の連鎖が止まらなくなっている。この結果、警官の不足から特に大都市圏を中心に治安が悪化し、殺人件数も増加している。こうした状況で身を守るために市民は武装し、銃の売れ行きが極端に増加している。

また富裕層は日に日に治安が不安定になる都市の中心部から、周辺地域の安全なコミュニティーへの引っ越しを始めた。ニューヨークなどでは引っ越し業者の予約も取れない状況だ。こうした状況が背景となり、大都市圏の中心部の不動産価格は下落する一方、富裕層が移動した周辺地域では価格が上昇するという逆転現象がいろんな都市で起きている。

大統領選に向けて、さらに状況は悪化していく

では、このような悪循環は今後どうなるのだろうか?どこかで循環の連鎖が止り、正常な方向への逆の動きが始まるのだろうか?

いいや、そうならないことは明らかだ。3か月後に迫った大統領選挙に向けて、この悪循環はさらに強化される可能性のほうが高い。

それというのも、左派系の「BLM」と極右のトランプ支持派との対立と憎しみはあまりに大きく、妥協する余地などまったくないからだ。両者にはそれぞれ自動小銃で武装した集団が加わっており、両者の対立による銃撃戦が複数の大都市で起こるのは、もはや時間の問題になっている。

すでに両者の小競り合いによる死者は、ウイスコンシン州、ケノーシャ、オレゴン州、ポートランド、そして、シカゴ、シアトル、ニューヨークなど各都市で発生している。すでに3カ月前の6月初旬の段階で19人が死亡している。

「BLM」の抗議運動が拡大し、トランプ支持の極右との対立が続く限り、銃撃戦は規模を拡大させながらさらに多くの都市に広まって行くことだろう。もちろん、ほとんどの「BLM」運動は平和的に行われている。しかし、そうしたデモにトランプ支持の武装した極右が発砲したり、デモ隊に車で突っ込んだりする事件は多くなっている。

いずれかの時点で、規模の大きな銃撃戦が複数の都市で起こるのは時間の問題かもしれない。

Next: やがて全米各地で内戦勃発へ。大統領選が接戦になれば危険度は増す

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