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報道されぬ米抗議デモの瀬戸際。警官消滅と治安悪化で内戦勃発も=高島康司

止まらない治安の悪化

警官の辞職が相次ぐなか、大都市圏の治安の悪化が止まらなくなっている。これを象徴する出来事が、8月28日に首都ワシントンで起こった。

この日はホワイトハウスで、共和党の全国大会がオンラインで開催されていた。共和党のランド・ポール上院議員は、大会に参加した後、ホワイトハウスを出て、2ブロック先にある滞在中のホテルに向かった。

しかし、1ブロック歩いたところで「BLM」のデモ隊に取り囲まれ、襲われそうになった。幸いにも近くにいた警官の保護でホテルにたどり着いたものの、ホワイトハウスを出たところでこのような出来事が起こるのは、前例がないとしている。

そして、全米の犯罪率を見ると、治安は悪化する傾向にあることが分かる。「ニューヨークタイムス」などの調査によると、新型コロナウイルスによるロックダウンの影響で人が出歩かなくなったことから、犯罪件数そのものは2019年比べて5.3%ほど減少した。しかしながら、殺人だけを見ると16.1%も増加している。これは5月までの集計値だ。

「BLM」運動が全米に拡大する前の数値だ。運動が全米に拡大し、暴力の応酬が激しくなっている8月までのデータでは、犯罪件数も殺人件数もずっと増えているのではないかと見られている。

このような状況のため、これまでないような事件が相次いでいる。9月7日、シカゴ市警は30人の地元のギャング団が、警官が銃を出したら射殺するようにとの指令をメンバーに出していることを明らかにした。これは、警官を射殺する場面をビデオで撮り、全国的に注目されることが目的だという。

シカゴでは、すでに今年だけで51人の警察官が銃撃されている。シカゴ市警によると、市の各地で無法地帯が広まっているという。また先週末には、シカゴ南部にある人気のパンケーキ屋が襲撃され、50人が銃撃される事件が起こった。このような事件は大都市圏で増加している。

自警する市民と中心から逃げ出す市民

治安の悪化が懸念される状況で、当然、売れ行きが好調なのが銃だ。

FBIの発表によると、2019年8月に比べ、今年の8月の銃の売れ行きは57%も増加したという。そのうちの64万人が初めて銃を購入した人々だ。このため、大都市圏を中心にした銃のトレーニングセンターは満杯で予約が取れない状況だ。

また、こうした大都市圏の中心部の治安の悪化が引き金となり、ある現象が起こっている。それは、富裕層の郊外への引っ越しラッシュだ。ニューヨーク、ミネアポリス、シカゴ、サンフランシスコ、シアトル、ポートランドなど「BLM」の抗議運動が激しい大都市圏では、都市の治安の悪化を恐れた富裕層が、市内から安全なエリアへと引っ越しのラッシュが始まっている。引っ越すエリアは周辺の異なる州が多い。ニューヨークなどでは、アメリカの引っ越し業者、「U-Haul」に予約が殺到している有り様だ。

この結果、ニューヨークやサンフランシスコをはじめいくつかの大都市圏では、市の中心部の不動産物件の価格が下落する一方、富裕層の引っ越し先になったエリアの価格が上昇するという逆転現象が見られるようになっている。

Next: 3か月後に迫った大統領選挙に向けて、この悪循環はさらに強化される

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