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携帯キャリア値下げラッシュの先にある新たな商機とは?5GでB2BのIoT向け回線増加、楽天モバイル再攻勢なるか=シバタナオキ

携帯料金の値下げ競争から見える各社の戦略とは?

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――携帯料金の値下げ競争ということで、続々と各社が新しいプランを発表しています。4月に楽天モバイルが月額2,980円で使い放題、さらに最初の1年間は無料でサービスを開始しました。

――10月にKDDIとソフトバンクが、UQモバイルとワイモバイルというサブブランドで値下げプランを発表しています。12月にはドコモもahamoという月額2,980円のプランを発表しており、価格で楽天モバイルに並んだことで話題となっていました。

――そして、つい先日KDDIがデータ使い放題でAmazonプライムも利用できるプランを月額9,350円で発表しています。

――コミュニティから質問をいただいています。このようなプランの違いから、各社の戦略は読み取れますか。

最初に先手を打った楽天モバイルは、とにかくこれ以上は下げられないだろうという低価格でプランを出してきました。2,980円で使い放題ですよね。まず、これが最初にありました。

次に動いたのがおそらくドコモで、楽天モバイルに匹敵するプランを出してきました。ドコモは元々MVNOで色々な会社に格安回線を出していたので、要はMVNOを潰しにきたということです。

今までドコモのMVNO経由でサービスをさせていた部分を自分たちでやるということで、楽天モバイルに取られすぎないように、きちんとそこにぶつけてきたのでしょう。

ソフトバンクとKDDIは、自社の格安サブブランドで値下げなどをしています。ただ、値下げした後も楽天モバイルには匹敵しない価格なので、この2社に関しては「とにかく絶対に値段を下げたくない」という考えがありそうです。

今回KDDIが発表したAmazonプライムも使えるデータ使い放題プランも、月額9,350円と価格が高いです。絶対に値下げしたくないというのが、この2社だと思います。

――だからサブブランドで、値下げしたプランを出してきたのですね。

サブブランドでも楽天モバイルに匹敵していない状態です。とにかく値下げをしたくないという明確な意思表示でしょう。

値下げによる業績への影響は?

――気になるのは、値下げした後の業績への影響です。

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――ソフトバンクグループはワイモバイルで値下げをし、4,480円のプランを出しています。ソフトバンクの傾向としては、顧客単価(ARPU)は下がっているものの、ワイモバイルの契約数は増えており、結果的に売上が上がったようです。

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――一方で、ドコモは去年のギガホ・ギガライトで一度値下げをした際に、1,086億円の減収、121億円の減益となっていました。

――料金を値下げすると顧客単価(ARPU)を上げるのが難しくなるので、今後売上を伸ばしていくためには、会員数の奪い合いになっていくように思いました。携帯料金以外にどのようなものが鍵になるでしょうか。

仰る通りで、顧客単価(ARPU)が下がると、会員数が増えない限り当然売上が下がります。残念ながら日本はこれから少子化になるため、マーケットの顧客数は減っていく一方になります。

それもあって各社値下げしたくなかったのですが、もう楽天モバイルとドコモが値下げをしたので、今後は値下げに舵を取るしかないです。しかも政府からの値下げ要請もあります。

それではどこに伸びしろがあるのか、という話です。これから5Gの普及により、特にIoT(Internet of Things)でインターネットに繋がるデバイスが増えてきます。5GのテクノロジーはとてもIoTと相性が良いので、今後数年間の携帯キャリア会社4社の決算を見るときには、いわゆるB2Bの売上がどのくらいになっているかを見た方がよいでしょう。

コンシューマー向けの携帯電話回線は、全体の人口が減っていく上に、料金も下がるトレンドにあるため、基本的に厳しい状況です。楽天モバイルは他社のシェアを取るため売上が増えるでしょうが、それ以外の会社は厳しいです。

そのため、次に狙わなくてはいけないのは、B2Bの機械向けの回線です。IoT向けの回線を売るというビジネスは、まだそれなりに大きくなっていくと思います。

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