今週は日米で主要な経済指標が公表予定で、日本では2月本決算企業などの3~5月期決算の発表も続く。ただ、そうした諸材料で日本の株価が大きく上下に動くとは見込みにくい。今週の日経平均株価は、2万9,000円近辺固めの動意に乏しい展開に、上昇の色合いが少しだけ加わったような推移となろう。(『馬渕治好の週次メモ「時の花」』)
※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週次メモ「時の花」』2021年6月28日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。市場急変時には号外の配信もあります。
今週(2021/6/28~7/2)の日経平均予想: 2万8,700~2万9,400 円
(先週の予想:2万7,900~2万8,800円、実績値:2万7,795.86~2万9,174.17円)
先々週の「FOMC騒ぎ」が、先週初月曜日(6/21)の日本市場までは持続したが、その後は世界的な株高へと転じた。
今週は日米で主要な経済指標(日本の雇用関連諸統計や鉱工業生産、日銀短観、米国のISM製造業指数や雇用統計など)が公表予定で、日本では2月本決算企業などの3~5月期決算の発表も続く。
ただ、そうした諸材料で日本の株価が大きく上下に動くとは見込みにくく、先々週初までの波乱からの脱却が持続しつつも、株価を大幅に押し上げるような要因にも欠ける。今週の日経平均株価は、2万9,000円近辺固めの動意に乏しい展開に、上昇の色合いが少しだけ加わったような推移となろう。
今週(2021/6/28~7/2)の米ドル円相場予想: 110.00~111.30 円
(先週の予想:109.50~110.50円、実績値:109.72~111.11円)
先週の米ドル円相場は、111円超えに強含んだが、対欧州通貨などでは米ドル安が進んだ。つまり、非米ドル>米ドル>日本円といった強弱が概ね優勢となり、米金利先高期待による米ドル高とは言い難い。むしろ、日本円の全面安であった。
この点からは、「FOMC騒ぎ」からの諸市場の脱却が、外国為替市場においても投資家のリスク追及的な姿勢を促し、米ドル安とそれ以上の円安を引き起こしたと解釈される。
今週は、米雇用統計などをにらみつつも、米ドル円相場の動向を大きく決定づけるような展開とはなりがたく、市況は大きくは動かないと予想する。
今週の一枚:日銀短観業況判断DIの差の推移
6月調査の日銀短観は、7/1(木)に公表される。最も注目される大企業の業況判断DIについては、「最近」の景況について、製造業は3月の+5から+16に、非製造業は同じく-1から+3に、それぞれ回復すると予想されている。
通常、業況の振れは製造業の方が大きい(好況期には製造業の業況判断DIが大きく改善し、不況期には製造業の方が大きく悪化する)ため、製造業のDIから非製造業のDIを引くと(図)、景気循環をよく示す。典型的な不況期(図中の点線の丸印)には、グラフが大きく低下している。
ただし最近では、2019年12月がグラフの底となっている。これは2018年10月に景気の山となったあと、製造業主導で景気悪化が進んだことによる。その後はコロナ禍により、通常のパターンとは異なり、小売、外食、旅行関連などの非製造業が大打撃を受け、グラフは景気悪化に逆行して上昇を始めた。
しかしそうした「異例な」状況はやや一巡し、足元では製造業と非製造業の両方の景況感が改善しつつ、製造業が輸出増などによりリードする形で、グラフの上昇が鮮明となってきている。上図の2021年6月時点のグラフは、3月調査の日銀短観の「先行き」判断を用いて描いているが、前述の6月調査の「最近」のDIの事前予想通りの数値となれば、グラフ(製造業と非製造業のDIの差)は13にまで上昇することとなる。
※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週次メモ「時の花」』2021年6月28日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した項目もすぐ読めます。
『馬渕治好の週次メモ「時の花」』(2021年6月28日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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