女性向けのインナーや靴下などを多く展開する製造小売業「チュチュアンナ」の手掛ける製品にデザインの剽窃、いわゆる“トレパク”(トレース+パクリを縮めた語)疑惑が浮上している。
ありがとうございます
そうなんです。多彩なポーズで頑張ってますもふもふポメラニアン総柄ロングTシャツhttps://t.co/CHH34fnRxk https://t.co/xhar4QmKba pic.twitter.com/78rxQHSPJv
— チュチュアンナ (@tutuanna) September 6, 2021
問題となっている製品は「もふもふポメラニアン総柄ロングTシャツ」なるもので、様々なポーズや表情をしたポメラニアンのイラストが随所に配されたデザイン。秋の夜長の部屋着にぴったりといったアイテムだが、これに対して「過去に自分が描いてネット上に公開したイラストと酷似している」と訴える人物が登場。トレパクか否かを検証したGIF画像をみてみると、確かにイラストのタッチだけではなく、構図もほとんど一致しているといった箇所も多々あるようだ。
突然すみません!こちらのポメラニアンの部屋着シリーズの柄が私の描いたポメラニアンと酷似している件についてご連絡くだされば幸いです 10/12(火)までにお返事いただけなければメンション抜きでツイートしますのでご了承ください https://t.co/HO5CydA2yC pic.twitter.com/dcSb0ddBmx
— 漫画犬 (@manga_dog) October 6, 2021
トレスじゃないでしょって言ってる人これ見てください pic.twitter.com/ZboYQZJtok
— 漫画犬 (@manga_dog) October 8, 2021
トレパクを訴え出た人物のTwitterによると、今回の件に関してチュチュアンナ側とは何かしらのやり取りはこれまでにあった模様。ただ本人のツイート曰く「冷静になれないのでこちらでのご報告はすこしお待ちください」とのことで、チュチュアンナ側から何かしらの納得がいく回答を得られたかどうかは不明である。
これ以前から多かった「トレパク疑惑」
1973年に大阪で前身となる会社を創業させた株式会社チュチュアンナは、当初は靴下の卸売業だったが、その後小売業へと業務を拡大。その製品の数々は可愛らしいデザインながらもお求めやすい価格帯とあって、若年層を中心に幅広い年代の女性からの支持を集めている。
さらに国内のみならず2009年には中国に初出店を果たすなど、海外にも精力的に進出し、2020年時点では国内外で500もの実店舗があるとのこと。最近ではタレントの井上咲楽さんや、女性お笑いトリオ・3時のヒロインなどをイメージガールに起用したPRで、さらなる知名度アップに注力しているようだ。
このように国内外でファンが多いチュチュアンナだが、今回の件が取沙汰される以前から、同社には同様のトレパクとみられる疑惑があったという声も、ネット上からは聞こえてくる。
まぁたチュチュアンナか!チュチュアンナはトレス大好きよねぇ
— もなか (@wagashiaisu) October 9, 2021
トレパクがバレるとスッと商品消すのよねチュチュアンナ…
— もなかダウンロード完了1/2 (@555dlb) October 9, 2021
さらに、過去にもトレパクがネット上の一部で指摘された際、ネット上のオンラインショップから“スッと商品消す”といったことをしていたという報告も。実際にこの「もふもふポメラニアン総柄ロングTシャツ」も、同社のオンラインショップを覗いてみると「ご指定の商品は販売終了か、ただ今お取扱いできない商品です。」との表示があり、現時点では販売されていない状態のようだ。
オンラインショップを見てみると、主力ジャンルのひとつである「靴下・ソックス」ひとつをとっても、400点近くのアイテムを扱うなど、多種多彩なアイテムを販売しているチュチュアンナ。だが、上記のような指摘もあることから、それらのなかには知的財産権的に問題となりそうな製品も含まれ、指摘があがればひっそりと終売させるという、ある意味で“ゲリラ的”な販売手法を半ば意図的に行っていた可能性も、ひょっとしたら考えられそうだ。
ようやく“疑惑”に反応したチュチュアンナ
ところで、今回トレパク被害を訴えた人物による“元ネタ”のポメラニアンのイラストだが、2019年に「CLIP STUDIO ASSETS」なるウェブサービス上にアップされたもの。このサイトでは、漫画原稿の制作ツールとして利用者も多いペイントソフト「CLIP STUDIO PAINT」上で使用できるトーンや3Dなどの素材を提供しており、ユーザーがオリジナル素材を出品することもできるという。
トレパク被害の人物が「CLIP STUDIO ASSETS」の運営側に問い合わせたところ、ダウンロードした素材をメインとして構成した商品は規約に反するとの回答があった模様。ただ同サイトの規約には、ダウンロードした素材に関しては、基本的に商用利用は「OK」との記載もあり、チュチュアンナ側はそれをパッと見て、悪意などまったく無しにイラストを借用した可能性もありそうだ。
セルシスにもお問い合わせしましたが、ASSETS素材は商用利用可能ですが素材をメインで構成するのは規約違反とのことです。 pic.twitter.com/nHNvAaJ7GH
— 漫画犬 (@manga_dog) October 9, 2021
とはいえ最近は、SNSや上記のようなウェブサービスなどを活用して誰もが様々な表現ができるということもあって、殊に“パクリ行為”に対しては非常に厳しい視線が向けられる時代。今回の件も、商用利用の範疇的に仮にチュチュアンナ側の行為に問題がなかったという判断が下ったとしても、仮にも国内外に500店舗を有する大企業が、ネタ元の作者に対して一切仁義を切ることなくトレースするというのは、その心証を大いに下げるに足る行為だろう。
ちなみに今回の件に関して沈黙を続けていたチュチュアンナだが、10月11日になってようやく「当社商品に関するデザインのご指摘について」というリリースを発表。それによると、今回の件も含めたトレパク疑惑に関しては否定も肯定もしなかったが、騒ぎとなっていることをお詫びするとともに、現在は事実関係の確認にくわえ今後の対応に関する協議を進めていると報告。さらに、事実が明らかになるまでは当該シリーズの販売は中止にするとしている。
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