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日本がコスト負担?ロシア制裁で“第3次石油危機”懸念、脱炭素化が遅い国に「国境炭素税」を押し付けへ=斎藤満

資源大国ロシアによるウクライナ侵攻で、石油に依存してきた世界経済は強制的に「脱炭素」の道へと進むことになります。ロシアへの経済制裁が長期化すれば、脱炭素化のスケジュールは大きく前倒しとなるでしょう。そこで負担を強いられるのが日本です。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

【関連】なぜ中国は覇権国になれないのか。日本を抜き去る「少子高齢化」ほか三重苦で経済発展ストップへ=勝又壽良

※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年3月7日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

ウクライナ危機で「第3次石油ショック」の様相

世界の大資源国ロシアが引き起こした今回のウクライナ危機で、原油価格がまた100ドルを大きく越えました。

原油(WTI原油先物)日足(SBI証券提供)

原油(WTI原油先物)日足(SBI証券提供)

あたかも第3次石油ショックの様相を見せ、エネルギー危機が再燃しています。経済制裁により、ロシアを貿易・金融から締め出すことで、日量1,000万バレルの原油生産や天然ガスの供給が急減するためです。

この結果、第2次石油ショック後にも見られたように、今回もロシア発の石油ショックで世界経済は高インフレと不況が同時に進行する「スタグフレーション」を体験させられることになります。

しかも今回はロシアに対する金融制裁もあり、これがもとで石油以外でもモノ取引が制限される面があります。

加速する脱炭素化

このエネルギー資源の供給制約が、結果として世界が進める脱炭素化の動きを促す「触媒効果」を持ちそうです。

脱炭素化を進める過程で、すでに米国や欧州でも新たな石油開発への投資が難しくなっています。実際、これだけ原油価格が高騰し、採算面では新たな石油開発が誘発されやすい状況にもかかわらず、金融機関が化石燃料開発には貸出を制限しているため、開発が進みません。

そこへ資源国ロシアからの石油・天然ガスの供給が絶たれる可能性が高まりました。サハリン1、サハリン2の停止により、日本にもロシアからの原油供給が減少します。

それだけに、日本も含めて世界経済は石油価格の高騰のみならず、エネルギー供給の制約がしばらく続く前提で、エネルギー対策を進める必要があります。

その場合、ロシアへの制裁期間、ロシアの体制がどうなるのか、時間軸いかんで対応が異なります。

Next: ロシア制裁はいつまで続く?つなぎ措置として「原発再稼働」も選択肢に

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