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明豊ファシリ Research Memo(3):CM業界のパイオニア(2)

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■明豊ファシリティワークス<1717>の事業概要

3. 同社の強み
CM事業者にとって競争力の源泉は人材である。特に大規模プロジェクトを成功させるには、高度な専門性と交渉力を兼ね備えた人材の確保が不可欠である。具体的には、発注者の立場で設計要件を整理し、コストの精査・管理を厳格に行える専門知識が求められる。また、工期管理を含むトータルマネジメント能力に加え、大手ゼネコンや設計事務所と対等に渡り合える実務経験やノウハウも重要となる。こうしたプロフェッショナルをいかに揃えられるかが、事業の優位性を左右する。

同社は、ゼネコンや設計事務所などで実務経験を積んだ中途人材を厳選して獲得している。基本計画の策定からコスト見積もり、工期管理に至るまで、建設プロジェクトの全工程を網羅するプロフェッショナル集団と言える。国内におけるCM事業の先駆者として業界内でのブランド力も向上しており、それが専門性の高い人材を惹きつける好循環を生んでいる。こうした高度なスキルを持つ人材を厚く擁していることこそが、同社の強みである。特に、公共分野のプロポーザル方式※1によるCM案件では、CCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)の保有資格者数が評価基準の1つとなっており、重要な指標となっている。同社における保有資格者数は、2026年5月末時点では106名で、過去5年間において約1.2倍に増員された。この数は独立系CM事業会社としては最大規模である※2。公共工事の品質確保を目的とした公共建築工事品質確保技術者は10名在籍しており、発注関係業務を適切に遂行する体制を整えている。また、脱炭素化ニーズの高まりを受け、環境分野の資格保有者も拡充している。具体的には、CASBEE建築評価員※3が46名、LEED AP(LEED認定プロフェッショナル)※4が2名、脱炭素アドバイザー※5(ベーシック/アドバンスト)が13名在籍するなど、多種多様な有資格者を揃えている。

※1 プロポーザル方式とは、発注者が業務の委託先を選定する際に、入札を希望する事業者に対して目的物に対する企画を提案してもらい、そのなかからすぐれた提案を評価項目別にポイント化し、総合点数が最も高かった事業者を選定する入札方式。
※2 独立系以外も含めると、大手設計会社の子会社である日建設計コンストラクション・マネジメント(株)及び(株)山下PMCを含めて3社が業界トップ3と位置付けられている。
※3 CASBEE(建築環境総合性能評価システム)とは、建築物の環境性能を客観的に評価する指標である。地球環境や周辺環境への配慮、ランニングコストの効率性、利用者の快適性などを多角的に評価する。この評価を適切に実施できる専門家は、(一財)住宅・建築SDGs推進センターによって「CASBEE建築評価員」として認証される。
※4 LEEDとは、米国グリーンビルディング協会(USGBC)が開発・運用している環境に配慮した建物に与えられる認証システム。LEED認証に関する知識・経験年数によってGreen Associate、AP、Fellowと3種類の資格に分かれている。
※5 脱炭素アドバイザーとは、企業の脱炭素化に向けた取り組みに関して専門的なアドバイスができる知識・ノウハウを環境省認定の資格によって習得した者を指す。

同社の成長の原動力は、社員一人ひとりが企業理念である「フェアネス・透明性・顧客側に立つプロ」を常に心掛け、高品質なサービスを通じて強固な信頼関係を築いてきた点にある。社員数271名(2026年3月末時点)の独立系企業にとって、大規模案件の新規開拓は容易ではない。しかし、同社は大手メーカーや金融機関、学校法人、中央官庁、地方公共団体といった既存顧客を多く抱え、新規顧客の多くもこれら既存顧客からの紹介によって獲得している。2026年3月期の受注金額に占める既存顧客比率は69%と、高水準を維持している。このリピート率の高さは、サービス品質の高さと顧客満足度の裏付けといえる。なお、近年の既存顧客比率の低下傾向は、建築コストの高騰を受けて民間既存顧客が投資に慎重となる一方で、地方自治体や、自社でのコスト算出が困難な企業からの新規引き合いが急増していることによるものであり、顧客基盤の広がりを示すポジティブな変化とも捉えられる。

また、同社は各社員が複数の事業セグメント案件にマルチに対応できる柔軟な組織体制を構築しており、各事業における顧客ニーズの多寡に応じてプロジェクトへのアサインを調整している。CM事業の普及に伴い、多様な専門性を要する案件がほぼ毎期発生しており、全社横断的な体制でこれらの案件に対応している。その経験を蓄積することで、組織全体の生産性向上を実現している点も同社の強みの1つと言える。

同社の強みは顧客からの信頼にとどまらず、利害関係者である元請け建設会社とも強固な信頼関係を築いている点にもある。現在、建設業界では供給者側の人手不足等による工期遅延が頻発している。着工後、施工者から専門的な改善提案がなされた際、発注者がその内容を即座に理解し判断を下すのは容易ではない。ここで同社が中立的な立場で介入し、発注者へ丁寧な解説と調整を行うことで、プロジェクトの円滑な進行を実現している。施工者側の提案であっても、それが真に顧客の利益に資するものであれば真摯に向き合う姿勢は、まさに「フェアネス・透明性・顧客側に立つプロ」という理念が、全関係者に対して実践されている証左といえる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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