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米失業率、5月に改善したのは白人だけ。コロナ禍でさらに広がった貧富格差と人種差別=矢口新

米5月の失業率は13.3%と、4月の14.7%から改善した。しかしその中身を見てみると、黒人・アジア系労働者は変わらず悪化し、白人労働者のみ改善していることがわかる。コロナ禍で格差はさらに広がっている。(『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』2020年6月8日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

コロナ禍でさらに広がった格差

米5月の失業率は13.3%と、4月の14.7%から低下(改善)した。

20%に近付くという予想を裏切った。レストランやバー、他のビジネスが再開し始め、労働者たちを再雇用したためだ。

彼らは店舗や事業所がコロナウイルスの拡大を遅らせようと閉鎖したことで解雇されていた。建設、ヘルスケア、小売店もまた雇用を拡大し、記録的な月間250万人の雇用増に繋がった。

4月には過去最大の2,070万人の雇用が失われていた。

一方で、黒人労働者の5月の失業率は16.8%と、4月の16.7%からわずかに上昇(悪化)した。アジア系労働者の失業率は15%と、14.5%から上昇した。

対照的に、白人労働者の5月の失業率は12.4%と、4月の14.2%から改善し、記録的な下落率となった。
※参照:Surprise U.S. unemployment rate drop leaves out blacks, Asians

低所得者層が打撃を受けたサブプライム・ローン問題

2007年8月に崩壊し、翌年9月のリーマン・ショックの原因ともなったサブプライム住宅バブル。その最も大きな被害者は、低所得者層だった。

2007年当時の米住宅価格中央値が24万7,900ドルだったのに対し、中間層(40%~60%)の平均家計収入は4万9,968ドル。年収の4.96倍の価格だった。

一方で、2004年当時の持ち家比率は70%に近く、中間層はすでに買い終えていたことが推測される。

サブプライム・ローンとは、低所得・低信用の人々向けの住宅ローンだ。無担保で貸すことはあり得ないので、購入予定の家屋が担保とされた。

2007年当時の下位20%の平均家計収入は1万1,551ドル。家を買うには年収の21.46倍の資金を要した。

つまり、年収全部を元本の返済に充てても21年以上かかる。当時の政策金利は5.25%、住宅ローンの利息はそれをはるかに上回るので、返せるはずがない。

Next: 金融機関がそんなことが分からないはずがない。下位20%の人々が債務不履――

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