豚を違法に解体したとして、と畜場法違反容疑で10月に逮捕されたベトナム国籍の技能実習生の男性4人に対し、前橋地検は全員を不起訴処分にしたと報じられ、多くの非難の声があがっている。
報道によると、4人の中には「豚を切って内臓を取った」と容疑を認める者がいるいっぽう、否認する者もいたという。また、豚の毛は見つかったが、解体した客観的な証拠は見つからず。さらにSNSに投稿された解体の様子の画像から投稿日はわかったものの、実際に解体した日の特定には至らなかったとしている。
なお前橋地検は、不起訴にした理由を明らかにしていない。
「これだから日本はナメられる」との声も
北関東で相次いでいる家畜の窃盗事件との関連も疑われたこの事件。しかし、それに関しては何ら進展せぬまま決まった不起訴処分に、ネット上は「どうして不起訴なのか」「前橋地検は無能」といった批判であふれている。
豚の毛は見つかった。
住んでいたアパートで解体する画像もあった。
容疑を認める人もいた。なのに、「解体した客観的な証拠は見つからなかった」?
4人全員を不起訴処分?ちょっと意味が分からない。
こんな前例が出来たらもっと農作物泥棒も家畜泥棒も増えるだろうね。
https://t.co/KCJZ1FVYd4— 小鳥 (@kotoRichanPPP) November 18, 2020
豚を切って内臓を取った認めてる。
豚の毛は見つかった。
解体された豚の画像はSNSに投稿されている。
解体した客観的な証拠は見つからなかった。
↓
豚解体容疑の技能実習生、全員を不起訴処分
なんでやねん。前橋地検、無能過ぎるやろ。 https://t.co/tRgUQn89SG— うめさん (@umezawa_toy) November 19, 2020
また、「これだから日本は犯罪者天国だとナメられる」といった風に、今回の判断によって外国人犯罪がさらに増えるのではないかと危惧する声も。
豚解体容疑の技能実習生、全員を不起訴処分に 前橋地検(朝日新聞デジタル)
何故不起訴処分なの?
こんな甘い判決を出してたら日本で犯罪をしてもチョロいと思われるから犯罪を未然に防ぐ為にも厳しい判決をお願いしたい。 https://t.co/14ZnMDkQQc— レミントン② (@chanchankO0OIl7) November 18, 2020
これは納得いかない
こんなんだから日本は犯罪者天国だとナメられるんだ豚解体容疑の技能実習生、全員を不起訴処分に 前橋地検https://t.co/iNouvXOx8e
— 中矢伸一事務所 (@nakaya_shinichi) November 18, 2020
そのいっぽうで、と畜場法違反のルートから窃盗容疑まで辿っていくのはそもそも難しかったのでは、といった意見も。また窃盗事件の全貌解明には繋がらなかったものの、警鐘を鳴らす意味では意義があったと評価する声もあった。
不起訴処分に非難の声が多いが、食べてしまえば違法解体ましてや窃盗の立証は非常に難しい。と畜場法でしっかり身柄を取って世に警鐘を鳴らした警察はむしろよくやったというべきだろう。暴力団の次は不良外国人。どんな悪にも社会が一丸となって立ち向かえばきっと勝てる。
https://t.co/NYLbObsl8s— 結城しのぶ (@shinobu_yuuki) November 18, 2020
今回逮捕されたのは「と畜場法」違反において。窃盗などの証拠がなかったからこれで攻めようと思ったのでしょう(屠殺はそこらへんでしちゃだめ、許可された場所のみっていう内容から)。だけど客観的証拠がひとつもなかった。そしたら不起訴はしかたないですよね。自白もしなかったんでしょう。 https://t.co/kqVkZB3miP
— けーすけのやつ (@keigodareo) November 19, 2020
強制送還を求める声が多数も実際は?
いっぽう、今回不起訴になった4人に対しては「強制送還になるんだよね」といった声も。なかには、もし起訴すれば血税から裁判費用が賄われてしまうため、不起訴にして国外退去にするのではという意見もあがっている。
不起訴は納得いかないが
もちろん強制送還だよね?豚解体容疑の技能実習生、ベトナム国籍の全員を不起訴処分 | Share News Japan https://t.co/ljR0ExfoBp
— CVCタンカース (@cvc019_x521sy) November 18, 2020
豚解体容疑の技能実習生を全員不起訴にした件。
起訴して刑務所に入れたら日本が支払う税金(開廷費用・国選弁護費用・収監費用)がまた増えるから、まとめて強制帰国させるのだと思うけど、秋霜烈日の精神(検察官がバッチ)が泣きますね。お金の問題で正義を軽んじるとは。— 橋本琴絵 (@HashimotoKotoe) November 18, 2020
ただ、今回の事件で不起訴になった4人が強制送還になるかは、まだ微妙な情勢だ。
豚の違法解体に関しては、埼玉でも同様な事件があり、ベトナム国籍の男性1人が11月にと畜場法違反容疑で逮捕されている。と畜場法違反容疑に関しての処分はまだ決まっていない模様だが、実はこの容疑者はすでに出入国管理法違反の疑いで逮捕され、その後起訴されているという。
入管法違反で起訴になったとなれば強制送還の対象となるようだが、今回の群馬の件に関しては入管法で逮捕されたといった話は無く、と畜場法違反で捕まったのみ。そのうえ不起訴となっているため、強制送還になるかどうかはまだ不透明だ。
苦境にあえぐ技能実習生たち
今回、豚の違法解体で逮捕されたベトナム人たちだが、群馬・埼玉どちらの件も共に技能実習生。もともとは国際貢献と国際協力の一環として始まった制度だが、近年ではその理念も薄れ、単なる低賃金な労働力確保のために使われている節もあり、劣悪な労働環境に置かれるなどといった人権問題に発展するケースが後を絶たない。
さらに今年に入り、新型コロナの感染拡大の影響で、受け入れ先の企業から退職を迫られることも多いという。そもそも多くの技能実習生を受け入れるという施策は、政府の肝入りで始められたものだったが、受け入れ後のサポートは民間にまかせっぱなしといった状況。そのため企業の都合であっさりと仕事を失い、母国へ帰ることもままならないというどん詰まりの状況下で、やむにやまれず犯罪行為に手を染めてしまう。そんな構図も浮かび上がる。
こうなると国策で犯罪者を輸入したようなもんだわな。
国が犯罪者と規定することすらも否定してしまったけれども。結局技能実習生として不幸になるベトナム人は増え続けるし、日本の民間はよりベトナム人に冷たくなるという悪循環につながるよね。 https://t.co/RIk6BiOtz0
— ハチノスケ (@USSR_fit) November 18, 2020
外国人労働者を受け入れ、そして共生が叫ばれるなかで、実際のところは日本人と外国人との分断がより深まっているという現実。これは決してコロナのせいではなく、国や企業が安価な労働力を得るために拙速な外国人労働者の受け入れ策を進めたことの代償ではないだろうか。
Next: 「ベトナム人全体が嫌な目で見られかねない」