アメリカ国民の半数以上が、自らの生活の困窮化を感じているとの現地報道が出ました。家賃や住宅ローンの滞納が増えており、まもなく立ち退きラッシュが起きる可能性があります。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2021年1月5日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
2020年は経済的大災害の年
アメリカ国民の半数以上が、自らの生活の困窮化を感じているとの現地報道が出ました。海外報道を翻訳しながら、要点を解説します。
※参考:For 55 Percent Of Americans, 2020 Has Been “A Personal Financial Disaster” | End Of The American Dream(2020年12月22日配信)
2020年末に米国議会でやっと可決された次の国民給付金法。しかし、アメリカ国民はその基本支給額の600ドルに対して怒っている。それでは「少なすぎる」と言うわけだ。
パンデミック開始以来7,000万人以上の新規失業給付申請が提出されたが、「焼け石に水」状態である。怒れる国民は、住宅ローンや家賃の支払遅れのために、いずれ立ち退きとなると感じているからである。
景気刺激策として政府はこれ以上、財政支出をする余裕はない。すでに公的債務は27.5T$も積み上がっており、物価上昇は遅かれ早かれやって来るだろう。
アメリカ国民自身が無制限の給付金を要求して国家財政を破壊しようとしているが、困窮する国民はそんなことに構ってはいられないのが現状だ。ほとんどのアメリカ国民はとにかく、一刻も早く政府からの現金支給を待っているのだ。
米国の経済状況を調査したOnePoll報告によれば、アメリカ国民の55%が、2020年は個人にとっても経済的大災害の年であったと振り返っている。
現在、失業していない労働者の62%が、借金を減らそうと2021年から副業を始めようと考えているそうだ。しかし、副業を始めようと決心しても、肝心の仕事が無いのが問題だ。
このような状況は1930年代の大恐慌以来のことだが、コロナ感染の次の大波のロックダウンで、状況はさらに悪化していくだろう。
払えぬ家賃、増える借金。まもなく米国で立ち退きラッシュへ
何百万人もの家庭で家賃支払いができず、年収3万5,000ドルから10万ドルの家計グループでも、7人に1人が11月時点で返済遅れになったそうだ。これらの借家住まいの79.9%が、2か月以内に住居立ち退きになると考えているという。
同様に住宅ローンを借りている人々の9.6%が11月の支払いができておらず、そのうちの56.1%は今後2カ月以内に住宅差し押えになると考えているとのデータもある。
米国議会では、そのような立ち退き要求を禁止するように家主に求めているが、そうなると家主が借金で破産することになる。
つまり 遅かれ速かれ、この立ち退き要求の自粛は止めざるを得ない時が来るだろうし、そうなると住まいが無くなる人々が大量に発生することは間違いなく、米国史上で初めての事態が生まれるのだ。
11月時点で年収が3万5,000ドルから10万ドルの範囲の家計グループで、3分の1以上が、クレジットカードローン・その他の各種ローン・友人等から借金をしているとのことである。
いずれ返済期限も到来し、そのうえ医療費も重なり、長期失業者はさらに苦しむことになる。その結果、クレジットカードの債務不履行が起きることになるのだ。
ここまで、海外報道を翻訳しながら要点をお伝えしました。次頁ではグラフを見ながら危機的状況について掘り下げます。
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