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河野大臣の「利益相反」発言で株価急落、M&A仲介企業は逆張り買い好機か否か=栫井駿介

両手取引は規制されるか

さて、話を戻すと「利益相反」というのが今後はどうなるのかということに考えます。

これはあくまで私の想定ですが、M&A仲介を規制する法律というのはなかなかありませんし、また今、新型コロナでものすごく忙しい中で、このための法律を新たに作るという動きにはなかなかなりにくいのではないかと思います。

さらに言えば、多くの国民にとってこの企業のM&Aというところに対する関心はほとんどないでしょうから、あえてわざわざいま、法律を作るようなことは非常に考えにくいと思います。

もし仮に両手取引が禁止されたとしたら、当然、受け取れる手数料は半分になってしまいますから、厳しいということになるでしょう。しかし、すぐにそのような状況になる可能性は極めて低いのではないかと思います。

さらに言えば、一般の消費者がこうやって何か損失を被る可能性があるものであれば、国もすぐに動くということになるのですが、そこで立ち会っているのは経営者ですから、経営者というと一定の判断ができる人とされています。

そんな中で自由契約であるM&A仲介に口を挟むというのは、資本主義社会の国としてもあまり望ましくない姿なのではないかとい思います。

株価下落でもまだ高い

さて、問題は株価です。今は「逆張り」のタイミングなのかということについてです。

長期で見ると、やはり大きく伸びてきて今も高い水準にあります。直近で17パーセント下がったと冒頭で書きましたけれども、5年で見るとほんのわずかな下落に過ぎません。

日本M&Aセンター<2127> 週足(SBI証券提供)

日本M&Aセンター<2127> 週足(SBI証券提供)

PERを見ると89倍と、かなり高い数字が出てきます。過去の推移で見てもこの日本M&Aセンターは50倍前後というのが平均的には水準だったのですが、新型コロナ禍で株価はむしろ上昇して、一旦100倍を超えて、それが80倍になったというところです。

割安かどうかという観点で言えば「まだ割安ではない」と考えます。もちろん今後コロナでさらに後継者不足とか事業を譲渡するというような動きが進んでくるでしょうから、業績の成長は十分に見込まれると思います。それでも例えば、今のPER80倍から、業績が倍になったとしてもPERが40倍ということになりますから、それでやっと過去の平均のPERぐらい。ですから、あまり旨味のある状況では必ずしもないと考えます。

他の会社に関しても同様です。これがPER50倍ぐらいで株価にして3,500円ぐらいになったら、かなり美味しい水準なのではないかと思いますが、市場の拡大と両手取引の規制が無いという前提の話なので、まだまだそういう意味では逆張りするタイミングではないのではないかと思います。

これからますます株価が下がって3,000円と4,000円とか、それぐらいの水準になってきたら、いよいよ長期投資家として検討できるタイミングになるのではないかと思います。

良い会社であること、さらには市場の拡大が続いていることは間違いありませんから、そういった観点でこの会社と今後を見ていきたいと思います。

(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)

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image by:Mongkolchon Akesin / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2021年1月27日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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