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4割が単身世帯へ。孤独死と隣り合わせの日本は「社会」を維持できるのか=鈴木傾城

歳を取れば取るほど誰も相手にしてくれなくなる現実

しかし、単身世帯にもデメリットはある。単身世帯の増加は、社会的孤立のリスクを高める。若いうちはいいのだが、年齢がいけばいくほど他者との関わりがゆっくりと確実に消えていき、孤独が身に染みるようになっていく。

20代の頃は友人が数十人いた人であっても、30代、40代、50代……と歳を取れば取るほど誰も相手にしてくれなくなる。

なぜ、そうなるのか。年齢が上になればなるほど、同年代の知り合いは家族を持ち、子どもを持ち、仕事も責任が重くなるので、会ってくれなくなるからだ。友人第一だった人も、家族第一になっていく。ヒマなのは自分だけになる。

そして若さを失っていけばいくほど、まわりから結婚相手とは思われなくなって異性が離れていく。女性は30代過ぎればチヤホヤする男どもが突如として消えてしまう経験をするのだが、男性も30代を過ぎて容姿が崩れてきたら、いくら金があっても若い頃と同じようにはならない。

新しい友人や異性友達を作ることがだんだんできなくなってしまい、古い友人たちも忙しくて会えなくなってしまうので、知り合いは増えるよりも減る方が多くなる。

単身世帯は歳がいけばいくほど孤立化が際立ってしまうのだ。

47万人の高齢者は誰とも会話せずに暮らしている

65歳以上の単身世帯の高齢者のうち、他者との会話が「ほとんどない」と回答した人の割合は7.0%であると内閣府の『平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果』では示されている。
※参考:平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果 – 内閣府

『平成30年・国民生活基礎調査』では65歳以上の単身世帯数は683万世帯なので、そのうちの7.0%と言えば、47万8,100世帯である。言って見れば、47万8,100人は来る日も来る日も誰とも会わない。恐らく、一日中テレビを見て過ごしている。そうした極度の孤立化の中に生きている人が大勢いる。
※参考:平成30年 国民生活基礎調査の概況 – 厚生労働省

第一生命が2002年11月に『単身成人未婚者の生活問題』のレポートを出しているのだが、これを見ると、単身世帯の男性63.5%、女性74.2%が「何かあったら不安である」という漠とした心配を抱いて生活している。
※参考:単身成人未婚者の生活問題 – 第一生命保険(PDFファイル)

もし病気になったら、もし事故に遭ったら、もし貯金を失ったら……。孤立化すればするほど「誰も」自分をサポートしてくれない。放置される。自分が困っていても誰も気にかけてくれない。

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