日本は2040年には単身世帯の割合は約40%に達する。若年層も結婚せずに単身世帯となり、高齢者も配偶者を失って単身世帯となる。日本人は40%が孤立化し、見捨てられ、存在すらも忘れられ、倒れても助けてもらえず、死んでも見つけてもらえなくなる。そんな社会が到来する。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
価値観の多様化はどんどん進み、単身世帯がデフォルトに
総務省が平成30年版としてまとめた『情報通信白書』の「第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長」の中には、今後の日本は単身世帯が上昇していき、2040年には「単身世帯(単独世帯)の割合は約40%に達すると予測されている」と述べられている。
※参考:情報通信白書 – 総務省
現在の単身世帯の伸び率のベクトルを伸ばせば、20年後にはそのような未来が待っているのである。そして、この単身世帯の割合を増加させるのが「65歳以上の単身世帯」であることも分かっている。
価値観の多様化はどんどん進み、かつてのように「結婚しなければ一人前ではない」「結婚しなかったら恥ずかしい」「結婚しない人生は失敗」みたいな価値観は否定されつつある。
いや、高齢層の中には、いまだに「結婚しないとは何事だ」と自分の息子や娘に怒鳴りつけて「いつ結婚するのか」「まだ相手がいないのか」と子どもをせっつかせたり、「孫の顔を見たい」とかイヤミを言ったりする親もいる。とは言え、こうした親も発言力を失って小さくなりつつある。
時代は変わってしまったのだ。単身世帯がデフォルトになった。
戦前は、おじいちゃんおばあちゃんも、お父さんとお母さんも、子どもも孫もひ孫も、みんなひとつの大きな家で暮らす大家族が日本の家庭の姿だった。しかし戦後はどんどん核家族化が進み、「お父さんとお母さんと子どもふたり」が典型的な日本の家庭の姿となった。
そしてバブル崩壊以後は、この核家族の姿も壊れていき、若年層の単身化がごく普通になっていく流れとなっていった。
若年層が必ずしも結婚を目的としなくなったのは、言うまでもなく価値観の多様性もある。それだけではなく、非正規雇用者が増えたことによって「結婚に自信がなくなった若年層」が増えたこともある。
非正規雇用者をじゃんじゃん増やしていった小泉政権下の竹中平蔵氏は、日本の家族の姿もまた破壊したのだと言える。
自由で気楽。単身世帯には単身世帯なりのメリットがある
若者が結婚しなくなった上に、少子高齢化によって配偶者を亡くしてしまった高齢者の増加も単身世帯を増やすわけで、日本は二重に単身世帯が増える社会となってしまっている。
別に単身世帯が悪いと言っているわけではないのだが、時代はとうとう「誰かと一緒に暮らす」よりも「ひとりで暮らす」方が当たり前になってしまっているということを私たちは認識する必要がある。
単身世帯には単身世帯なりのメリットがある。私もそうだが、ひとりでいる方が気楽で良いと思う人も多い。
他人の面倒を見る必要もなければ、子どもを育てる気苦労もしないで済む。いつどこで何をしていても、誰にも文句は言われない。それこそ、真夜中にフラフラしていても問題ない。
寂しくなったら野良犬のように街をほっつき歩けばいい。すると、同じく野良犬の女たちが街をほっつき歩いているので、気に入った女と関わって刹那的に別れればいい。動物的だが、他人の人生に責任なんか持ちたくないと思う人間には最高の関わり方だ。
そういう不道徳さが気に入らない人は、ペットを飼って寂しさを消すこともできる。今のこの社会は人間よりもペットの方が100倍も信用できる。人間はいつでも裏切るがペットは純真に接してくれる。
よくよく考えて見たら、人間よりもペットの方がずっと外観がかわいらしいではないか。そう思う人はペットを飼う。
多くの人が犬や猫に夢中になっていて、YouTubeでもそうした動物の動画が異常なまでに人気なのも、恐らくその背景に単身世帯が増えていることもあるのだと私は考えている。
単身世帯は休みの日はだらだらと寝て過ごしても、一日中YouTubeを見て過ごしても、別に問題はない。ある日は暴飲暴食して、ある日は何も食べなくてもいい。同じものを100日続けて食べても自分が満足ならそれで問題ない。
つまり、単身世帯はやりたい放題なのである。
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