非正規雇用者を増やし、若年層の貧困と格差を増長させたのが竹中平蔵。その竹中平蔵をブレーンにしているのが菅政権。そうであれば、非正規雇用が是正されたり、若年層の貧困が消えたりすることはなく、むしろ正社員が消えて全員が非正規雇用者になる社会に向かうと理解できるはずだ。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
正社員が消えて、全員が非正規雇用者になる社会に向かう
竹中平蔵と言えば、「正規雇用と言われるものはほとんどクビを切れないんです。クビを切れない社員なんて雇えないですよ、普通」とか言って、非正規雇用者を大量に増やした経済学者でもある。
実際、小泉政権ではこの竹中平蔵の経済政策によって構造改革が強引に行われ、どんどん若年層の非正規雇用化が進んでいったのだが、その結果として誕生したのが「若年層の貧困と格差」が強烈に広がっていく社会だった。
この結果を見て、竹中平蔵は「若者には貧しくなる自由がある。そのときに頑張って成功した人の足を引っ張るな」と言い放った。
最近は「マイナンバーカードと銀行口座をひも付けることを条件に月7万円のベーシックインカムを導入し、生活保護や公的年金廃止を廃止」とか言い出して、「そんなんで暮らしていけるわけがないだろう。お前が7万円だけで暮らしてみろ!」と国民の大批判を浴びた。
この竹中平蔵が、菅政権の経済ブレーンである。菅首相と竹中平蔵は密接なる関係なのである。
竹中平蔵がブレーンをやっている政権が目の前にある。そうであれば、非正規雇用が是正されたり、格差が是正されたり、若年層の貧困が消えたりすると思うのは甘すぎるというのが分かるはずだ。
むしろ正社員が消えて、全員が非正規雇用者になる社会に向かう。
非正規雇用の最大の問題点は、その月の仕事は月末に精算されて、その時点で評価も成果も消えてしまうことだ。つまり、仕事において評価も信用も成果も「積み上げる」ことができない。昇級もない。
この「積み上げ」が効かないというのが、その後の人生に絶望的な経済格差を生み出していく。
非正規雇用や派遣、あるいは無計画な転職は先がない
非正規雇用や派遣で働く人々の問題点は、今までやってきた仕事が次の派遣先で生かせるかどうか分からない点にある。派遣でも、自動車の組み立て現場を1年やっていれば仕事は相当な手際になっているはずだ。
しかし、非正規雇用者はその現場にずっといられるわけではない。契約が切れれば今度は違うところに派遣されるかもしれない。
たとえば、その人は次にレストランの皿洗いの派遣に回されるかもしれない。あるいは解体現場の仕事かもしれない。そうなれば、自動車の組み立てとはまったく違う分野であり、また「新人」として扱われる。
短期間で仕事を辞めて、無計画に違う分野に転職してしまう人も同じだ。こうした状況は、仕事や経験やキャリアに「積み上げ」がない状態である。だから、非正規雇用や派遣、あるいは無計画な転職は先がないのである。