無料通信アプリ「LINE」が利用者の画像データなどを韓国のサーバーで保管していた問題で、子会社が運営するスマホ決済「LINE Pay」に関しても、利用者の取引情報のほか加盟店の企業情報や銀行口座番号が、同様に韓国内のサーバーに保管されていたことが判明し、ユーザー間で波紋が広がっている。
今月17日時点で、トークに投稿されたすべての画像と動画にくわえて、LINE Pay利用者の取引情報も韓国内のサーバーに保管していることが分かっていたが、その後の朝日新聞の取材により、上記の取引情報には利用者の出入金や決済、送金データが含まれていることが判明。またLINE Pay加盟店の銀行口座番号や企業情報も保管されていることも明らかになった。
さらに23日に報じられた別の記事では、対話アプリを使った健康相談やオンライン診療などのサービスにおいても、LINEは画像データを韓国のサーバーに保管していたことが判明。画像には、利用者の患部や保険証などの画像が含まれているという。
韓国にあるサーバーだが、所有しているのはLINEを実質的に傘下に置く韓国IT大手・ネイバー。韓国にあるLINE子会社の社員が、サーバーへのアクセス権を持っているという。
注目集めるプライバシーポリシーの記載
名前・電話番号・メールアドレスなどといった情報が、中国からアクセスできる状況だったことが17日に発覚して以降、個人情報などの扱いに関する疑念が次々と指摘されているLINE。19日にはこの問題に絡み、中国関連会社の技術者4人が日本国内のサーバーに計32回アクセスしていたことが判明。関連会社側は、中国政府への情報提供などは否定しているという。
今回の一連の報道で、一部のネットユーザーの間で改めて注目が集まっているのが、LINEのプライバシーポリシー。そのなかの「パーソナルデータの保管場所」には、「当社は、信頼性が高く、責任ある方法で当社サービスを提供するため、主要なパーソナルデータの保管を、当社の所在する日本の安全なサーバーで行っています。」との記載があるが、今回の報道を受けて「完全に嘘」「利用者を欺いたってことですか?」との声が。さらには、この「日本の安全なサーバーで行っています」とは、「日本“製”のサーバーで行っています」という意味で、決して日本で行っていると説明したものではない、といった珍説も飛び出すなど、その不確かさぶりが大いに取沙汰されている。
これもう金融業の資格剥奪レベル…
日本のサーバーに安全に保管しています→実際は韓国サーバにLINEPayの情報保存していました。
完全に嘘だし、ユーザーの同意得てないLINE Pay情報、韓国に保管 加盟店の口座番号も:朝日新聞デジタル https://t.co/JElowEPxdt
— タカトニック (@takatonic) March 23, 2021
LINEが利用者を欺いたってことですか?
6.b.パーソナルデータの保管場所https://t.co/pu4snFe5wt>当社は、信頼性が高く、責任ある方法で当社サービスを提供するため、主要なパーソナルデータの保管を、当社の所在する日本の安全なサーバーで行っています。
— 名無しさん@涙目です。 (@miyamaesaginuma) March 23, 2021
日本の安全なサーバーで行っています。(日本製のサーバーを韓国に置いて使ってる)
日本サーバーにおいてないwwwww
日本製の安全なサーバーですお
日本製とも言ってない
日本で行っている
が、海外で行ってないとは書いてない
— 池ちゃんゴルフ下手の横好き⛳ (@BqjMVMR0XIPalXS) March 23, 2021
実際、この手のデータの海外サーバーでの保管はケースとして珍しくないとのこと。ただ今回の一連の報道に対する反応を見るに、自らの個人的な情報が海外に流れることに対して強いアレルギーや不安を抱く人は相当に多いという印象だ。
23日の社長会見で疑惑・不安は払拭できるか?
このような多くのユーザーたちからのアレルギー的反応も受けてか、省庁や自治体などではLINEを活用した各種サービスから、一時的に離れる動きが顕著になっている。
19日には武田総務大臣が、総務省がLINEを通じて提供している行政サービスの運用を停止する考えを示したと報じられたのをはじめ、加藤勝信官房長官も内閣官房でLINEを使う業務やサービスなどに関して、一連の懸念が払拭されるまでは停止するとコメント。
さらに最近では、厚生労働省が補助金を出してNPO法人が運営している自殺防止相談窓口に関しても、LINEの活用を止めて他のSNSや電話などでの相談に切り替え。また千葉県や大阪市といった地方自治体でも、LINEを使ったサービスを一部停止していると報じられている。
いっぽうで、今回のLINE Payにおける不備発覚に関しては、なぜかPayPayユーザーの間でも動揺が広がっているようだ。先日発表されたLINEとヤフーの統合により、LINE PayはPayPayに集約されることになったが、それは来年4月をメドにという話。にもかかわらず、PayPayユーザーからは「大丈夫なのか」「芋づる式にってことはないのか」との不安の声があがる。
LINEが問題になっていますが、4月からLINE Payと PayPayが統合されますが、大丈夫なんでしょうか?
— ポムロム (@Pomerol_716) March 21, 2021
LINEPAYの個人情報危ないんかな??そうなると芋づる式にPayPayも…?
— しゅん (@New_SS77) March 19, 2021
かいつまんで言えば、LINE payは登録者の預金に手を出される危険だってあるということ。私はPayPayだって危ないと思って、前から言ってるけどね。
— 見城 太郎-Ultraman No.6 (@t_ken_jo) March 22, 2021
このような事態を受けて、LINEは23日午後7時半から都内で記者会見すると発表。出澤社長自らが、一連の経緯や今後のデータ管理の方針などについて説明するとみられている。省庁や自治体の「LINE離れ」まで引き起こした今回の問題だが、この会見でユーザーが抱く疑念や不安を払拭することができるのか。LINEにとっては、まさに正念場といったところだ。
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