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コロプラはゲーム業界の敵?任天堂の賠償請求“倍プッシュ”に喝采のゲーマーたち。コロプラ株急落で「弱らせて買収」との憶測も

コロプラの人気スマホ用ゲーム『白猫プロジェクト』を巡り、特許権の侵害があったとして、任天堂がゲームの差止めと損害賠償を求めていた裁判。これまで49億5,000万円としていた損害賠償額を、任天堂が96億9900万円に引き上げたとコロプラが発表し、大きな波紋を呼んでいる。

両社の間で取沙汰されているのは、『白猫プロジェクト』に実装されている「ぷにコン」と呼ばれるバーチャルパッドで、これに任天堂が有する技術が多く用いられているという。

損害賠償額を変更した理由は「訴訟の提起後の時間経過」だといい、4月13日付で任天堂から提出があったとのこと。損害賠償の96億9,900万円のほかに、遅延損害金も請求するという。ちなみにこの損害賠償額だが、今年2月にも44億円から49億5000万円への増額があったばかりで、その際も「訴訟の提起後の時間経過」が請求額引き上げの理由としていた。

ゲームファンの間で広がる「任天堂支持」

任天堂による大幅な請求額の引き上げに驚きの声があがった今回の件だが、ネット上の反応を見ると任天堂への好意的な意見が多く、コロプラに対しては批判の声が多数あがる状況。それらの声を総合すると、それが真実かどうかは定かではないが「任天堂がゲーム業界発展のために公開していた技術を、コロプラが利用して自社技術として特許申請した」という認識で共通しているようだ。

そもそもゲーム業界における特許は、各社間の「仁義」によってバランスが保たれていたという指摘がある。ゲーム作りに関する様々な技術やアイデアを、各ゲーム会社がどんどんと特許出願していく流れがあるいっぽうで、仮に他社がそれを侵害した際には、自社も過去や未来に他社の特許を侵したかもしれない……という「お互い様」の価値観が共有されていたという。それゆえに、会社間の訴訟合戦の発生といったものが抑制され、各社による自由な開発が活発に行われていたのだ。

ただ、そういった「仁義」や「お互い様」といった価値観が、それこそアーケードゲーム全盛期といった古い時代からの企業間では培われたいっぽうで、2003年創業とゲーム業界では新興の部類に入るコロプラに、そのような価値観は皆無だったようだ。その最たる例として、ネット上で大いに取沙汰されているのが、コロプラがVR関係の特許を大量に取得し、その権利を主張していることで、VR業界の発展を阻害しているという話。ネット上では「特許ゴロ」「ゲーム業界の敵」といった厳しい言葉で、コロプラを非難する声もあがる。

今の経営感覚なら、コロプラのそういった知財戦略も理解できるところで、特許などの問題に関して各社が鷹揚だったという話のほうが、むしろ前時代的なものだと断じられるのかもしれない。ただ、そういう風土がゲーム文化の発展に大いに繋がったとの見方は根強く、それによりこの件に関しては「任天堂支持」がゲームファンの間で広がる理由となっているようだ。

請求金額大幅引き上げで「狙いはコロプラ買収」との噂も

ところで、今回の「損害賠償額の大幅引き上げ」が公表された日だが、奇しくもコロプラが新作のスマホゲーム『ユージェネ』のサービス開始日だったという。この件を明らかにしたのは、任天堂からではなくコロプラ側からなのだが、なにもそんな日に公表しなくても……と、その狙いを図りかねるといった声も。ちなみに『ユージェネ』だが、事前登録者数は伸び悩んでいるという声もあがっている。

近年では、スクウェア・エニックスと共同開発した『ドラゴンクエストウォーク』が大ヒットとなったが、とはいえ『白猫プロジェクト』への依存度が依然高いとされるコロプラ。その人気タイトルにまつわる訴訟沙汰、しかも最強の法務部を擁する任天堂を相手に勝てる見込みは薄いとされ、そのうえ倍額に近い請求額の引き上げとあって、その株価のほうも22日は大幅な下落となっている。

任天堂との裁判が決着する以前に、早くもその影響が経営に影を落としつつある今の状況。ネット上では、任天堂の思惑として「コロプラに一定の打撃を与えた後に、買収するつもりなのでは」といった観測も流れており、先述のようにコロプラを「ゲーム業界の発展を阻害する存在」と目している層からは、それを歓迎する声さえも聞かれる。

2016年に任天堂がコロプラに特許権侵害があると指摘して以来、約5年に渡って揉め続けている今回の件。コロプラ側も今回の件に関し、特許権侵害は一切なく正当性を主張していくとコメントするなど、退く気はまったく無いようで、争いはさらなる長期戦となっていきそうだ。

Next: 「あと10回ぐらい遅延損害賠償を請求すれば5兆円に?」

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