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「安すぎる」地銀株は買い時か?納得の不人気理由、あえて買う人に教えたい投資戦略3つ=栫井駿介

地方銀行銘柄が不人気な3つの理由

では、なぜこんなに人気がなくて株価も下がってしまったのかというと、私は大きく3つの要因があると考えます。

1. 成長性の無さ
2. コロナ後における財務悪化懸念、
3. 稚拙な有価証券運用

順に解説していきます。

<不人気の理由その1:成長性が無い>

まず、成長性の無さについてです。

今、日本では金利がずっと低い状況が続いています。 金利が低いというのは銀行の収益の根本が完全に揺らいでしまっているということになります。

これをわかりやすくするために地方銀行のビジネスモデルを解説します。

地方銀行のビジネスモデルというと、まず皆さんから預金を預かるところから始まります。 その預金を例えば貸出金や有価証券などで運用することで運用収益を得ることになります。 ここに金利が大きく影響してきまして、例えば1兆円のお金があったとしてその1兆円を1%で運用したとしたら100億円のリターンがもたらされ、その100億円というのが運用収益というところになります。

ここの金利が下がるということは、その1%がさらに下がるということになりますから、当然、銀行の損益計算書に大きな影響を与えるわけです。 そして、この運用収益から例えば物件費や人件費、そして貸し倒れがあった時の損失である与信費用、これらを引いたものから利益が生まれます。 この利益が純資産という形で戻ってくるわけです。

低金利というのはこの運用収益が減ることを意味します。一方で、物件費や人件費は金利が減ったところで減るものではありませんから、その分最終的な利益が削られてしまうということになります。 よって、低金利は銀行にとってはマイナスでしかないわけです。

また地方経済の成長性の無さというのもあります。 日本は首都圏への一極集中が進み、地方の経済というのはかなり枯れている状況です。地方の経済に元気がないと、そこに地盤を置いている企業の貸出先がなかなか無いということになり、やがては預金も減っていくということが考えられます。

したがって、そのままこれまでのビジネスモデルをやっただけでは、成長は難しいですし、さらに言えば、今IT化が進んで、銀行もどんどんネットビジネスが浸透してきて手数料も従来の銀行に比べたらかなり安かったりしますから、楽天銀行やPayPay銀行に移せばいいじゃないかという動きも見られますから、よっぽどその地方に根付いていて口座を持っている人でなければ、今新たに地方銀行の口座を作る理由は無くなってきているわけです。

もっと言えば、IT企業が銀行を介さない金融取引を薦めてくると、ますます必要がなくなってくるというのが銀行の状況というところになります。

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