割安銘柄の上昇パターンに当てはまらない
割安銘柄が上がるのはこういったパターンがありますが、地方銀行に関してはこれがうまく機能しないと考えられるとも言えます。
割安銘柄が上がるのはこういったパターンがありますが、地方銀行に関してはこれがうまく機能しないと考えられるとも言えます。
なぜかというとそれは銀行法における問題があります。
銀行法においては株主規制というのがあり、特にこの2番目の銀行の20%以上の主要株主になるときには、あらかじめ金融庁長官の認可を受けなければならないとされています。
例えば外資の会社がこの銀行を買いたい、20%以上を持ちたいということを考えると、金融庁の認可を受けなければならないわけです。
認可自体には外資制限などがあるわけではないのですが、認可を受けるということは逆に言うと認可を取った後でも、いつでも取り消されてしまう可能性もあるということです。
これが金融庁の気に入らないことだったりすると、すぐにその認可を取り消されてしまう、あるいはもう簡単には認可を取れないということになってしまいます。
そしてその基準というのは、はっきり言って分からないわけで、金融庁のさじ加減1つです。
そういったリスクを負ってまで、外資のファンドやアクティビストが地銀を買収する必要があるのかということを考えると、リスクとリターンが必ずしも合わないというところがあります。
銀行としてもこの株主規制があるからこそ、そう簡単には20%以上、つまり議決権に影響を及ぼすほどの株を持たれることはないだろうと考えてしまいますし、何かあったら金融庁に泣きつけばいいというところがあるわけです。
これは昔から銀行というと護送船団方式といって、すべての銀行が大蔵省の名のもとに横並びの仲良しクラブでやっていたところを引き継いでしまっているのではないかと思います。
これがあるからこそ、買収やアクティビストによる株価の上昇という可能性がだいぶ減ってしまっているというところがあります。
地銀の救世主となったSBIグループ
一方で、そこで現れた救世主というのがSBIグループです。
SBIグループが多くの地銀に出資を行い始めました。 確認できる限りで6つの銀行があります。島根銀行、福島銀行、じもとホールディングス、筑邦銀行、清水銀行、大東銀行です。 特に島根銀行に関しては20%を超える出資を行っているわけです。 当然、これは金融庁の認可を受けたということになります。
SBIホールディングスが他のファンドと違うのは、SBI自体が証券業や銀行業などいろいろやっていますから、すでに金融庁とよく通じているというところがあります。
だからこそ、その勝手知ったる仲ということで、地方銀行に出資しても齟齬なくやっていけるというところがあるのではないかと思います。
SBIグループとしてもこの地方銀行の連合によって、大きな地方銀行グループを作ることを目指しているというようなことを社長の北尾さんは言っています。
例えば買収されるようなことがあると、その買収価格の上昇だったり、一般的に買収する時にはプレミアムといって、現在の株価に30%ぐらいは上乗せしないと買えないというようなことを言われています。
また、このSBIが入ることによって、先ほどの3つ目の経営改革が行われる可能性というところにも期待が高まるわけです。
実際に2019年9月6日にSBIが島根銀行への出資を発表した時には、596円だった株価が一気に842円まで上昇しました。
こういった事象が起きるならば、地方銀行に投資する可能性というのも見えてくるわけです。
ただ、現時点でこの可能性を生んでいるのはSBIくらいで、他のファンドなどはあまり積極的に動いている様子は今のところ見えないというところがあります。
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