ロボアドバイザーに手数料を払う価値はあるか?
では、そのサービスで手数料はいくらなのかというと、1.1%(税込)ということになっています。100万円を投資したら、1年間で1.1万円を持っていかれるというものになっています。
これが高いか安いかはさておき、年率1%っていうと、大体投資信託の中では平均的な水準ではないかと思います。要するに、投資信託を買うのとあまり変わりがありません。
さらに言うと、上場投資信託そのものにも手数料がかかることになっています。それが、ETF手数料0.08から0.13%というものです。これを合わせたものがトータルのコストというところになっています。
投資信託AIと言っていますが、投資信託を買うのと実は変わらないというところになります。
さらにもっと確実に言えることは、先ほどETFが7本の組み合わせだという話をしました。このロボアドバイザーがやっているのは、その7本の割合を5つのパターンに組み替えることです。
少しケチな考え方かもしれないのですが、ロボアドがやっている1%の手数料を省こうと思ったら、ものすごく簡単です。先程のAIがなくても、自分でまったく同じポートフォリオを作ることができるのです。
確かに先程のアンケートは取ってもらわないといけないなと思うかもしれないんですが、これ自体も無料でできてしまうものなんです。ウェルスナビのホームページに行くと、この口座開設の所に無料診断というのがあります。
この無料診断でやるのが、実は本番に口座を作った時と同じものです。そして、この出てきた結論が、先ほどもありました円グラフでどの投資信託を何パーセントを買うべきというのが出てきます。
つまり、これを見てあとは自分で当てはめるだけで、このロボアドバイザーと同じことができるということになっています。そう考えると、100万円の1.1万円は、省けるといえば省けますよね。
もっと言うならば、ビジネスモデルとしては、このETFにタダ乗りしたビジネスであるという風にも見えます。実はこのETFはものすごい涙ぐましい努力がありまして、このETFをやっているヴァンガードという会社があるのですが、その会社はインデックス投資、あらゆる市場全体の株を組込むのが運用としては最も素晴らしいという風に考えて、それをいかに顧客に安い手数料で提供できるかということを考えて、地道な努力を積み重ねてきたわけです。
その結果、ETF手数料0.08か0.1%という、ものすごい低額の手数料を達成することができました。
なぜかというと、とにかくたくさんの資金を運用することができれば、資金運用というのは実は金額が100万円だろうと1億円だろうと、100億円だろうとやるコストというのはほとんど変わりません。すなわち、ETFの規模が大きくなればなるほど、1単元当たりの手数料というのを下げることができます。
そうやってこのETFを大きくしてきて、手数料も1人当たりの手数料を限りなく0に近づけることができました。
しかし、ロボアドバイザーがやっているのは、これに改めて1%の手数料を付加したということになります。これはタダ乗り以外の何物でもありません。
この1%というのは、小さい金額に見えるかもしれません。しかし、ウェルスナビは5,000億円を集めましたから、5,000億円の1%で、このETFを組み合わせるという簡単なことをやっているだけで、50億円の収益を得ることができるんです。
ビジネスとしてはとんでもなく美味しいビジネスだという風には思いますが、果たしていかがなものかというところもあります。
ここまでで「1%の手数料を払うようなものじゃないよ」と私が言っていると思われるかもしれませんが、そうではありません。
実は私の結論としては、やって問題があるかというと「問題ない」。むしろ「大多数の人はやるべきものだ」という風に考えています。
言っていることがわからないかもしれませんが、理由をご説明いたします。