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中国の古銭ブームでアジアコイン暴騰へ。やがて世界に広がる“銀貨ドミノ倒し”に刮目せよ=田中徹郎

地殻変動はやがて世界の銀貨相場に及ぶ

遠からずアジアで起きた地殻変動は、世界の銀貨相場に及ぶと僕は思います。

感覚的ではありますが、中国コインの直近10年ほどの上昇は2倍から3倍ほどです。

アジアコインはさらに激しく、ベトナム(アンナン)やチベット、モンゴルなどのなかには、10倍ほどに急騰した銘柄もあります。もともとアジアコインはタダのような相場に放置されていましたし、市場の規模や銘柄も少なかったので、この10倍という数字にさほどの驚きはありません。

円銀は市場規模が大きく、さらに割安感という点でもアジアコインほどではありませんで
した。年初から概ね2倍から3倍の値上がりは、まあ納得感のある数字だといえるでしょう。

世界のコイン市場は一体化しています、アジアで起きた銀貨のドミノ倒し現象は、遠からず世界に広がってゆくと僕は思います。

そういう観点で世界を見渡すと、中南米とヨーロッパの大型銀貨は、水準訂正の余地が大きいと僕は思います。

まず中南米の8レアルです。1700年代の後半から1800年代にかけ、カルロス3世・4世、その次の王様フェルディナンド7世あたりの8レアルです。

一昔前までこのあたりは人気がなく、MSクラスの高状態のコインでも500ドル前後で落札できたものですが、最近はジワジワ相場帯が上がっており、1,000ドルでも競り負けることが多くなってきました。

おそらく同期代の8エスクード金貨の上昇も影響しているのではないかと思いますが、アジア発の銀貨相場上昇も影響していると思います。

そして最後に挙げたいのは、アジアからみて地球の反対側にあるヨーロッパ、特に1500年代から1800年代にかけての大型銀貨ターレルです。

いま僕の手元に20年前のオークションカタログがありますが、落札価格をみますと、たとえば以下のような例があります。

・1556年 フェルディナンド1世 1ターレル VF-:10.5万円
・1560年 フェルディナンド1世 1ターレル VF/EF:20万円 
・1615年 マシアス 1ターレル UNC:50万円
・1611年 ルドルフ2世 1ターレル UNC:12万円
・1712年 カール6世 1ターレル AU:46万円

鋳造所の違いなどがあって一概には言えませんし、当時は鑑定済みコインというものがなく比較が難しいですが、それでもターレルに関しては、当時の落札価格は現在の相場とさほど変わらないようにみえます。

ちなみにこのオークションの中国コインをみますと、たとえば袁世凱の1ドル金貨(UNC)が76万円で、同じく「孫文の三羽鳥(EF)」がたったの2.6万円で落札されています。

今では「袁世凱の1ドル金貨」は1,000万円を超えます、「孫文三羽鳥」は少し状態が悪いですが、それでも100万円の値は付くでしょう。

いかに当時のターレルが高かったかがわかります。

世界中の芸術的銀貨の価値が上がるのは時間の問題?

さて、問題はこれからです。

20年前とほぼ同程度の値が付いているターレルですが、当時が高すぎたとも言えますし、逆に今の相場が破格に安すぎるとも言えます。

おそらく実態はその中間ではないでしょうか。

ながらく相場が膠着していただけに、今のターレルは世界的にみて割安感がプンプンしています、そこにもってきて中国からやってきた銀貨ドミノ倒しです。

暴騰で僕は、世のなか「ヘンなこと」がたくさんあると申し上げました。上記のように、今のターレル相場もよく考えてみれば「ヘン」です。

Next: 「ヘンな相場」はやがて訂正される?アンティークコインに要注目

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