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台湾パイン輸入1万トンに激増。「芯まで美味」と歓迎ムードの反面、日本の「交渉下手」「お人よし」ぶりにモヤモヤする声も?

中国から輸入停止措置を受けていた台湾産パイナップルだが、日本に向けての輸出が激増しており、今年の輸出量は初めて1万トン台にのぼったことがわかった。

報道によると、台湾産パイナップルの今年1~8月の輸出量は、前年同期比35%減の2万9,118トン。これまで輸出量の9割を占めていた中国向けが、前年同期の10分の1に激減したものの、日本向けは同8.3倍の1万7,862トンと急増し、国別でもトップの数字になっているという。

今年3月から台湾産のパイナップルの輸入を「害虫の検出」を理由に輸入停止にしている中国政府だが、最近ではバンレイシ(釈迦頭)とレンブという2種類の果実についても、同様の理由で輸入を停止。台湾側では、中国政府と距離を置く蔡英文政権に対する政治的圧力だとする見方が強いという。

台湾の「福島産食材の輸入解禁」を求める声も

生でそのまま食べるのはもちろん、肉料理などでも使用されるパイナップルだが、日本においてはほぼ沖縄県でしか作られていないようで、その収穫量は2020年の統計で約7,390トン。自給率は5%ほどにすぎないという。

いっぽうで輸入に関しては、2019年の統計によると約15万トンにのぼるそうで、そのほとんどがフィリピンからの模様。ちなみに同年の台湾からの輸入は1,000トンにも及ばなかったようで、それと比べるとこの数年でとんでもないほどの伸びとなっているようだ。

中国の「嫌がらせ」で行き場を失った台湾産パイナップルを食べて応援……そんなストーリーもあってか、ネット上では「芯まで食べられる」「フィリピン産の倍の値段だけのことはある」などといった声があがるなど、日本国内での評判のほうも上々のようだ。

しかし、そんな台湾産パイナップルを歓迎するムードに対しては、「台湾は福島産食材の輸入停止を続けているのに……」といった声も。

福島産食材の輸入停止に関しては、つい前日アメリカがその措置を撤廃したばかりだが、台湾のほか中国・香港・マカオ・韓国といった国や地域が、依然として福島県産食品の広い品目、あるいは一部の輸入を停止している。そんななか、台湾が「自分らの農産物がピンチなので助けて」といって日本に売り込むというのは、なんだか解せない……といった見方だ。

【関連】風評被害“完全払拭”の契機に?米国が福島産食材の輸入停止措置を撤廃。菅政権の評価がまたもや爆上がりも背景には「米中貿易戦争」との見方も

台湾とは対照的な日本の「お人よし」ぶり

原発事故があった2011年以降続いている、台湾による福島産を含めた食材の輸入規制。ただ、16年に誕生した蔡英文政権は当初、輸入規制緩和に意欲的だったという。

しかし、そのような動きに対して「日本産食品輸入の解禁反対」を掲げたのが、台湾の最大野党で「親中」とされる国民党だ。当時の台湾では違法な添加物の混入事件などが続いていたことで、多くの市民が「食の安全」にナーバスになっており、そういった層を煽る形で反対運動を展開。その結果、2018年に行われた住民投票では禁輸継続賛成が約779万票に対し、反対が約223万票と、圧倒的な賛成多数で「禁輸継続」が決まったという経緯がある。

台湾では、住民投票から2年間は投票結果と異なる政策を実施できないという定めがあり、それに関しては昨年11月に期限切れとなる形に。ただ、再びこの「日本産食品輸入の解禁」が野党側に政争の具として使われる恐れもあるということで、蔡政権としてもその対応には慎重にならざる得なかったようだ。

ただ、ここに来て台湾側も日本産食品の輸入規制緩和に向けて前向きのようで、今月23日には台湾当局が「福島県産の食品の輸入禁止措置について日本と交渉する」と規制を緩和する可能性に言及。これは言うまでもなく、先日台湾が表明したTPPへの加盟に絡んでの発言である。

TPPへの加入には、協定を締約している日本をはじめとする各国の同意が必要で、ましてや中国も時を同じくして加盟を表明している。中国が先に入ってしまうと、自らの加盟の目がなくなってしまう台湾としては、各国との交渉を急がざる得ない状況で、なかでも今年のTPP議長国である日本との交渉合意、さらにはTPP加盟に向けての日本の後押しは必要不可欠といったところ。

そのために、台湾は日本産食品の輸入規制緩和というカードを切ったという見方もできるわけだが、その姿勢は、いわば義理人情で台湾産パイナップルを輸入しまくっている日本とは対照的。ネット上では、そんな日本の「交渉下手」「お人よし」ぶりに相当モヤモヤしている……そんな向きも結構多いようだ。

Next: 台湾のTPP加盟でパイナップルも安くなる?

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