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武蔵野市「外国人にも投票資格」住民投票条例案が否決。「議員事務所の電話がパンク」過熱する論争は松下市長の“条例再提出”意向でまだまだ続く?

東京都の武蔵野市議会において、外国人の住民投票参加を認める条例案が提出されていた件で、21日に市議会の本会議で採決が行われ、反対多数で否決されたと報じられている。

報道によると、条例案は武蔵野市の松下玲子市長が「多様性のある市民の力を生かしたい」などとして、住民投票の投票資格を3か月以上市内に住所がある18歳以上とし、実質的に外国籍の住民も日本国籍の住民と同じ要件で参加できるようにしたもの。

21日は市議会の本会議が開かれ、今月13日の総務委員会での審議では条例案が可決されたことが報告。これに対して賛成・反対の立場から討論がなされたうえで採決が行われ、条例案への反対が多数という結果となったという。

態度不鮮明だった無所属議員らはほぼ条例案反対へ

今月13日に行われた市議会の総務委員会では、今回とは逆に賛成多数で可決された同条例案。しかし、そのことをきっかけに、市民のみならず幅広い人々の間で同条例案の存在が知れ渡ることとなり、その是非を巡って激しい論争が繰り広げられていた。

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その時点では、本会議での採決に関してその行方はまったく不透明で、その時点で態度を明らかにしていなかった非政党系の中立会派「ワクワクはたらく」に所属する2名の議員や、無会派無所属の一部議員の動向がカギを握るのではと予測されていた。

そのため上記に該当する議員に対しては、賛成派や反対派問わずメールやファックスによる“働きかけ”が殺到する事態となっていたが、その後も議員事務所の電話がパンクしたと議員自身のツイッターからの報告があるなど、それらの動きがさらに激化していた模様だ。

このように条例案賛成派と反対派が激しくやりあうなか迎えた、今日の本会議での採決だったが、「ワクワクはたらく」の本多夏帆市議は採決前の討論において、条例案への反対を表明。

その後行われた採決では、立憲民主会派や共産党、さらに市民の会・れいわ新選組会派と一部無所属議員が条例案に賛成したのに対し、自民系会派と公明党の議員、くわえてその動向が注目されていた「ワクワクはたらく」2議員のほか無会派無所属の一部議員らはほぼ反対にまわり、結果「賛成11人・反対14人」で同条例案は否決となった。

松下市長は「条例案再提出」を示唆

市内に生活する外国人などの多様な声を市政に反映したいとして、武蔵野市長である松下玲子氏が主導して提出された今回の法案。しかし、その直前の市長選で配布された選挙公報には、そのことに関する主張がなかったことなどもあり、多くの市民にとっても唐突感は否めず、議論がし尽されていないといった批判も多く出ていた。

本多議員による条例への反対表明でも、3つ掲げられた問題点のひとつとして「住民投票制度そのものについての市民理解が得られていない」ことを指摘。さらに松下市長の「自分が推進したい案なら手続き論は甘く、反対したい案なら厳しくという姿勢」に対しても「一貫性がない」と批判するなど、今後の議論の余地は大いに残したいとしながらも、松下市長による拙速な事の進め方に関しては大いに問題を呈する内容だったようだ。

今回の本会議においての条例案否決に関して、ネット上では「えっ、ホントに否決されたの?」「良識は守られました」と条例反対派から喜びがあがるいっぽうで、賛成派からは「排外主義の勝利」と今回の結果を揶揄する意見も。さらに今回の条例案に反対した中立議員を“レイシスト”だと断ずる言説も大いに飛び交い、議員らの身の危険を案ずる心配の声もあがるなど、混乱は依然として続いている。

今回の条例案否決を受けて、松下市長は記者団の取材に対して「市議会では市民への周知が足りなかったとの意見があった」とコメントするいっぽうで、市民の声をさらに聞き改めて条例案を検討する意向を示したという。これからも続いていく外国人参加の是非を含めた住民投票の在り方を巡る議論だが、今後はむやみにヒートアップするのではなく、冷静なやり取りが求められるところだろう。

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