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「外国人にも投票資格」武蔵野市の住民投票条例案をめぐり論争過熱。本会議採決を前に市議の元には“働きかけ”メール&FAXが殺到する異常事態

東京都武蔵野市議会の総務委員会が、外国人の住民投票参加を認める条例案を賛成多数で可決したと報じられ、ネット上ではその是非を巡って、激しい議論が展開されている。

住民投票に関して、市内に3か月以上住む18歳以上なら外国人でも日本国籍の住民と同じ条件で参加できるとしたこの条例。13日に、市議会の本会議に先立って委員会で審議され、立憲民主会派の議員は、外国人の住民投票参加について「多様性を尊重する武蔵野市として自然な対応だ」と賛成を表明。そのいっぽうで自民会派の議員は「日本人と同じレベルで考えるのはナンセンスだ」と反対意見を述べたという。

その後の採決では、6人いる議員の賛否が同数に。そのため委員長の採決により、可決と決まったという。もし今後、本会議でこの条例案が成立すれば、日本国内では神奈川県逗子市、大阪府豊中市に続く3例目になるという。

僅差での可決にネット上の反応も二分化

武蔵野市長である松下玲子氏の肝入り政策としてぶち上げられた、この住民投票条例案だが、当初から「外国人参政権にも繋がりかねない」との懸念から反対する声も多い。

松下氏は今年10月に行われた市長選で、立憲民主党・日本共産党・社会民主党・れいわ新選組の推薦・支持を受けて、2選目を決めたばかり。ところが、その際の選挙公報には、今回の住民投票条例案に関する記載はなかったようで、多くの市民にとっても唐突感は否めないところで、さらに反対派からは「騙し討ち」といった声までも聞こえてくる。

いっぽうで、武蔵野市が今年3月に行った市民アンケートで、「外国籍の住民も投票資格者に含めるとする市の考え方」についての賛否を聞いたところ、その際は賛成が73.2%、反対が20.5%という結果になったとのこと。

武蔵野市側はこのことを“市民の意向”として今回の条例案可決を進めようとしているが、実際のところアンケートは18歳以上の2,000人が対象で、回答者はそのうちの約25%にとどまったことから、一部からは決して多くの市民の意見が反映されたものではないとの声も。ちなみに地元の保守系市民団体は、今回の条例案に対する反対署名を計約2万4,000人分集めたという報道もなされている。

このように、その関心度はかなり高くなっているだけに、今回の市議会委員会での可決に関しても、「素晴らしい!!」「僅差とはいえ、よかった」といった賛意も聞こえてくるいっぽうで、「ホントかよ?信じたくないんだが」「プロセスがヤバすぎて絶句」などと落胆する声もあがったりと、ネット上では様々な反応が見られる状況だ。

一部市議の元にはメールやファックスが殺到する事態に

今回、市議会の委員会において可決された条例案だが、来週21日に行われる本会議において採決がなされる予定。

ネット上ではその採決の行方を案ずる声が、法案賛成派からも反対派からもあがっているが、現状ではどのような結果になるのかは、まったくもって不透明といったところだ。

武蔵野市議会は現在議員数が26名で、議長は自民系会派に所属する議員が務めている。先の委員会において条例案に反対したのは自民系会派と公明党の議員だったが、もし本会議で両会派の議員が再び反対に回っても、過半数にはわずかに届かない。いっぽう松下市長を支える立場で、条例案にも賛成を表明している立憲民主会派や共産党、さらに市民の会・れいわ新選組会派などの議員数も、過半数には及ばない。

このため採決の行方は、非政党系の会派に所属する2名の議員と無会派無所属の一部議員の動向が、カギを握るといった状況になっている模様だ。

そのような情勢とあってか、ネット上では市議会議員に対してメールやファックスで“働きかけ”をしようといった声があがり、広く拡散されている状況。いっぽうでとある市議のもとには、大量のメールやファックスが殺到し、その対応に大わらわとなっているようである。

このように武蔵野市民のみにとどまらず、ネット全体を巻き込んでの騒動に発展したこの一件だが、いささか過熱ぶりが過ぎる感も。とはいえこの騒ぎ、採決の行われる来週まではどうも続いていきそうな雰囲気だ。

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