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「2024年、トランプが大統領として返り咲く」いま誰が復帰を望み、暴力と分断を加速させているのか?=高島康司

連邦議会議事堂に侵入した意外な人々

2024年にトランプが大統領に返り咲く。この記事がこのように断言できるのは、1月6日に連邦議会議事堂に侵入した人々の詳しい取材を通して、いまアメリカの水面下で起こっている静かなクーデターとでも呼べるような動きが明らかになったからだ。

これまでトランプのコアな支持層は、グローバリゼーションのトレンドに乗ることができず没落して貧困化した労働者層、ならびに失業し過激化した若い白人が中心の白人至上主義者のようなマージナルな集団だと見られていた。当然、1月6日に連邦議会議事堂に突入して逮捕された人々も、多くがこの層に属していると見られていた。

しかし、この集団を細かく調査すると、こうした一般的なイメージとはかなり異なった集団であることが判明した。彼らこそ、トランプのいまのコアな支持層を代表する集団と見てよいだろう。

ちなみに、議事堂に突入した600人以上が被告となっており、そのうち78人が拘束されている。刑務所で裁判を待っている者のほとんどは、警察官への暴行、凶器による暴力、共謀、銃器や爆発物の不法所持などの重大な犯罪で起訴されている。少なくとも151人の警官が、骨折、 脳震盪、化学物質による火傷、テーザー銃による心臓発作などの被害を被った。

この集団のアイデンティティーを詳しく調査したのは、シカゴ大学の研究チームだ。議事堂に侵入して逮捕された人々の年齢の中央値は41.8歳で、半数以上がホワイトカラーの仕事に就いていたり、自分で起業していた。医者、建築家、グーグルのフィールドオペレーションの専門家、マーケティング会社のCEO、国務省の役人などもいた。学歴も大卒以上だった。

一般的に、アメリカ、ヨーロッパ、 中東など世界的に見て、過激な運動を展開する人々は一貫して20代から30代前半の無職で低学歴の若者が多い。

だがこの集団は、そうしたプロフィールとはまったく異なっていた。議会議事堂に侵入して逮捕された人々は、中流階層、ないしは中流階層の上の人々だった。

しかも、これらの反乱分子は、ほとんどの場合、有名な過激派グループには所属していなかった。「プラウド・ボーイズ」や「オアス・キーパーズ」、「スリー・パーセンターズ」といった極右の民兵組織とのつながりがあったのは、逮捕された600人では数十人いたが、起訴され7人のうち6人はそのようなつながりがまったくなかった。

出身地域から明らかになる実態

このように、議事堂に突入して逮捕された人々は、中年のホワイトカラーや専門職の中流層以上の人々であった。

おそらくこれが、いまのコアなトランプ支持者でもっとも過激な人々の典型的なプロフィールだ。没落した労働者層や、極右の失業した若者というイメージとは大きく異なる集団だ。

このようなプロフィールを見ると、彼らは比較的に豊かであり、経済的な理由からトランプ革命を支持している人々ではない。

では、彼らはどういった理由でトランプを支持しているのだろうか?それは、シカゴ大学の研究チームが明らかにした彼らの出身地域を見ると分かる。

彼らの出身地を郡ごとにマッピングすると、白人の人口比率が低下している郡から過激なトランプ支持者が現れる可能性が非常に高かった。2015年から2019年にかけて、ある郡の白人の割合が1ポイント低下するごとに、その郡出身のトランプ過激派の出現可能性は25%上昇していた。

またシカゴ大学の研究チームは、6月に全米の傾向を見るためにもっと大きな人口を対象に調査した。その結果、「バイデンは非合法であり、トランプをホワイトハウスに戻すためには暴力が正当化される」という意見に賛成した人は8%強だった。これはアメリカの成人人口の2,100万人に相当する。

さらに、11月1日に行われた世論調査会社、「パブリック・レリジョン・リサーチ・インスティテュート」の調査によると、さらに大きな割合の12%のアメリカ人が、選挙はトランプから盗まれたものであり、「真のアメリカの愛国者たちは、国を救うために暴力に頼らなければならないかもしれない」と考えていることが判明した。これは成人人口では3,100万人に相当する。

Next: 支持者に変化?「トランプこそ白人の権利を回復する大統領である」

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